カテゴリ:額装(和額・扁額) > 額装(修繕)
野村素軒/福生於清約 額装修繕(修理修復)
桜と鳥 額装修繕(修理修復)
安田しげ子/犇く 修繕と額装
戦前の趣ある旧家でお店を営む、Analogue Lifeの岩越さんから書『犇く』を額装にしたいとご相談頂いたのは、昨年のこと。
当初は、書に裏打ちをして額へ納めるという比較的易しい案件と理解しておりましたが、実物(書)を拝見し、また書を大事にしたいという想いを伺い、それでは書を長きに亘り愉しむこと・保存することは困難であることをお伝えしました。
beforeの写真では分からない部分、いわゆる書の内部・裏面の状況は決して良い状態ではなかったということです。岩越さんは、私の長々とした講釈にも熱心に耳を傾けてくださり、とても奥深い根幹を見つめる姿勢に表具師として悦ばしい思いでした。
実際に、修繕を開始してみると書の内部・裏面は、想像以上に劣悪な施しがしてあることが分かりました。
実は、このように一見では予測できない安易な事例は稀ではなくしばしばある為、修繕前にいかなる展開にも対応できるように、あらゆる準備をします。
そうすることで、どんな状況であっても平常でいられます。
今回は、この仕事を三部構成(修繕・下地製作・額装)の映像に納めておりますので、ご覧頂けましたら幸いです。

▲before(修繕前の状態)

▲after

▲before

▲after

▲before

▲after

フレーム(額縁)は、岐阜県各務原市にあるtokotowaの小林さん(指物師)へお願いしました。
小林さんとは、初めてお会いした時に古くからの知り合い(友人)のような印象で、随分長話をしました。色々と話していくうちにいくつか面白い共通点があることも分かり、馬が合うはずです。
もちろん、仕事への向き合い方・技術やアイディアも豊富で尊敬できる素晴らしい方です。
フレームの材は、栗無垢の無塗装で製作していただきました。
栗は腐りにくく、耐水性もあり防腐処理をしなくても長年使用できる優れた木材ですので、今回の修繕と額装の趣旨にとても馴染みます。






額装下地の裏面は、利休色の絓絹(しけぎぬ)を使用しました。
絓絹とは、絓糸を緯に織った平織りの絹織物を指します。絓糸は、繭から生糸を繰るときに、出てくる粗糸で玉節があり、太さが不ぞろいの糸のことでテクスチャーが私好みの材料です。
絓絹を表具で扱うということは、格式ある印であり、本来は然るべき高級な屏風や額装でしか見ることはありません。
但し、今回は伝統的な格式という趣向ではなく、書とフレームの相性と材料としての耐久性を重視した結果自然とそうなっていった感覚です。
私の目指す先は、常にシンプルであることに尽きます。



【安田しげ子/犇く】
寸法 -detail-
・幅:二尺三寸七分 × 高さ:二尺三寸四分/W:720㎜ × H:710㎜
素材-material-
・栗材(フレーム)/chestnut wood
・杉材(下地)/cedar wood
・和紙(純楮紙、他)/washi
・絓絹(裏面)/silk
・正麩糊(小麦粉澱粉)/japanese paste





畫龍點睛(画竜点睛) 額装修繕
古文書 額装修繕
留め
鍛冶神図 掛軸 ⇒ 額装修繕
墨蹟 額装修繕
大和絵 額装修繕

大和絵(やまとえ)は、日本での絵画様式のひとつ。中国風の絵画「唐絵」(からえ)に対する呼称であり、平安時代に発達した日本独自の絵画のこと。「陸絵」「和絵」などとも表記され、「倭絵」「和画」と書いて「やまとえ」と読むこともある。『源氏物語絵巻』などの絵巻物に典型的に見られる。土佐派などの流派に受け継がれ、近代・現代の日本画にも影響を及ぼしている。狩野派は大和絵の伝統と、唐画の技法・主題を統合したと自称する。※wiki参照

▲before

▲after

▲before

▲after

▲before

▲after

▲before

▲after

▲before

▲after

▲before

▲after

▲before

▲after



作家/不明 作品/大和絵
ご依頼主/大阪府
染み抜き Vol.42(頭山満)
染み抜き Vol.41(藤田嗣治)
染み抜き Vol.39(龍)
染み抜き Vol.36(美人画)
小松宮彰仁親王の書

この写真は、ご依頼品を預かった際の状態です。
おそらくこの状態が改善されるイメージが湧かない人が大多数と思われます。
それとは裏腹に、僕には明確なイメージが湧いていました。
もちろん最善を尽くす為に、時間をかけて幾通りの修繕プランを用意します。そして、工程が進むごとに都度最良のプランを選び修繕しています。

本紙はバラバラかつ脆いので、取り扱いはとてもデリケートです。
既存のパーツ(本紙)は、全て生かします。



額装の土台にある本紙も下記写真の様に解体(取り外し)していきます。
非常に繊細な作業が続きます。


バラバラになっていたメインの本紙を元の配置へと仮合わせしています。
※後ほど一旦ばらし、修繕作業・補強作業を施したら裏打ちをします

修繕を終えた本紙は、この通り良好な状態へと変貌を遂げました。
元々欠損していた部分は、既存の本紙の色味の中で一番薄い色味よりもワントーン薄い色味で補紙しています。これは作為的に行ったのですが、話すと長くなりますので割愛します。





書:小松宮彰仁親王(日本赤十字社総裁)・額装修繕(修理修復)
ご依頼主:岐阜県
染み抜き Vol.16
染み抜き Vol.14
『無尽蔵』
いくら取ってもなくならないこと。限りがないこと。
この言葉をきくとどうしても、欲・煩悩がちらついてしまいます。
あぁ、無情、、
さて、額装の修繕及びシミ抜きのご依頼です。
修繕(修理修復)をする際には、基本的に額の下地・額縁は新調します。
余程の状態の良い額下地でない限りは、修繕した作品に悪影響が出る恐れがあるからです。
また、状態の良い額下地であった場合でも補修処置を行い新品同様の製品まで仕立て直しします。
そうすることで、作品を良好な環境で保存することができるのです。
※アクリルガラスは必須です

▲before

▲after

▲before

▲after

▲before

▲after
今回のアクリルガラスは、ご依頼主のご希望で反射防止加工されたものを使用しました。
通常のアクリルガラスと比べるとその差が分かります。
いくら取ってもなくならないこと。限りがないこと。
この言葉をきくとどうしても、欲・煩悩がちらついてしまいます。
あぁ、無情、、
さて、額装の修繕及びシミ抜きのご依頼です。
修繕(修理修復)をする際には、基本的に額の下地・額縁は新調します。
余程の状態の良い額下地でない限りは、修繕した作品に悪影響が出る恐れがあるからです。
また、状態の良い額下地であった場合でも補修処置を行い新品同様の製品まで仕立て直しします。
そうすることで、作品を良好な環境で保存することができるのです。
※アクリルガラスは必須です

▲before

▲after

▲before

▲after

▲before

▲after
今回のアクリルガラスは、ご依頼主のご希望で反射防止加工されたものを使用しました。
通常のアクリルガラスと比べるとその差が分かります。
染み抜き Vol.13
染み抜き Vol.12(陸軍大将 杉山元)
染み抜き Vol.11
手先の感覚
痛みを和らげる
染み抜き Vol.5
修繕Collection Vol.2
伊達政宗の消息
染み抜き Vol.3
悪条件整いました
額の修繕
ほっこり
悲しい現実
この仕事を真面目に向き合えば向き合うほど、悲しくなることがあります。
それは、正しい表装(修繕・新調)を施していないご依頼品を拝見させていただく時です。
お客様への想い、作者への敬意、そして表装に対する愛情・・・職人として当然のことです。
それ以上に良いものを生み出そうとする心がプロフェッショナルだと自負しております。
今回は、昨日ご依頼いただいた悲しい現実をご紹介します。

4、5年前に古い額装(扁額)を額縁屋さんで手直ししてもらったそうですが、甚だしい処置が施されておりました。
建築物で言えば、欠陥住宅。医療で言えば、医療ミス。
4、5年前に傷を抱えたままの状態です。
①最低限の見栄えが悪い(作品を引き立てようとする配慮が全くない) ※天地の余白があり過ぎる。額縁の見付が太過ぎる。

②以前の扁額に張り込まれてあった作品を修繕することなく切りとって上に乗せただけの仕上げ。
③裏打ち剥し・剥落止め・異物除去作業の皆無、もちろん再裏打ちもしない悪質な処置。

④両面テープ(合成樹脂)で部分的に作品を止めてあるだけ。和紙の作品に合成樹脂を使用することは悪影響しかない!ご法度である!

⑤額下地が粗悪なべニアのパネル仕上げ。考えられません。最低です。通常は、障子の様な組子(格子)下地に和紙を張り重ねて仕上げたものを化粧していきます。
表装には、鑑賞と保存を考慮した素晴らしい技術があるにもかかわらず、作品の保存への配慮が欠落しています。


⑥額縁の留めがホッチキスと釘で処理してある。しかも留めには隙間がある。
以上ですが、話せば何時間でも語り続けられるくらい表具への熱い想いが込み上げますが、ぐっと押し堪えます。
今回ご依頼のあったお客様には、誠意をもって最善のお仕事をさせていただきますのでご安心ください。
それは、正しい表装(修繕・新調)を施していないご依頼品を拝見させていただく時です。
お客様への想い、作者への敬意、そして表装に対する愛情・・・職人として当然のことです。
それ以上に良いものを生み出そうとする心がプロフェッショナルだと自負しております。
今回は、昨日ご依頼いただいた悲しい現実をご紹介します。

4、5年前に古い額装(扁額)を額縁屋さんで手直ししてもらったそうですが、甚だしい処置が施されておりました。
建築物で言えば、欠陥住宅。医療で言えば、医療ミス。
4、5年前に傷を抱えたままの状態です。
①最低限の見栄えが悪い(作品を引き立てようとする配慮が全くない) ※天地の余白があり過ぎる。額縁の見付が太過ぎる。

②以前の扁額に張り込まれてあった作品を修繕することなく切りとって上に乗せただけの仕上げ。
③裏打ち剥し・剥落止め・異物除去作業の皆無、もちろん再裏打ちもしない悪質な処置。

④両面テープ(合成樹脂)で部分的に作品を止めてあるだけ。和紙の作品に合成樹脂を使用することは悪影響しかない!ご法度である!

⑤額下地が粗悪なべニアのパネル仕上げ。考えられません。最低です。通常は、障子の様な組子(格子)下地に和紙を張り重ねて仕上げたものを化粧していきます。
表装には、鑑賞と保存を考慮した素晴らしい技術があるにもかかわらず、作品の保存への配慮が欠落しています。


⑥額縁の留めがホッチキスと釘で処理してある。しかも留めには隙間がある。
以上ですが、話せば何時間でも語り続けられるくらい表具への熱い想いが込み上げますが、ぐっと押し堪えます。
今回ご依頼のあったお客様には、誠意をもって最善のお仕事をさせていただきますのでご安心ください。