カテゴリ: 襖(ふすま)

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創業145年の歴史ある老舗料亭の襖です。
建築物としても100年以上の年月が経っておりますが、今なお悠然とした佇まいで客人を迎えているようにみえます。
これは、現在の店主をはじめ先代から料理の味と共に建物を都度手入れを加えながら、大切にしてこられたのだろうと思います。

この度は、この広間の襖といくつかの客室の襖の修繕と張り替えを施工させていただきました。
既存の襖の状態は、何度か張り替えがなされていましたが、決して良い仕事とは言えるものではありませんでした。残念ながらこれは、特例ではなく私が携わった旧家の襖の張り替え仕事の殆どは、有り合わせの所謂手抜き仕事であることが現実です。

しかしながら、こうした古い建築物の襖の骨組みや当初の材料は、良質なものが残っていることが多く、そこを上手く活かしながら丁寧に腫瘍部分を取り除いていきます。
そうすることで、襖の状態は改善され、また数十年継続させていくことが可能になります。

私にとって表具の一番重要な理念は、使えるものは繕い直すことです。
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この襖縁を使用することを躊躇してしまうほどに美しい。

戦前の最も潤沢な時代の贅沢な建築でいて、引きの美学も兼ね備えており、材料・技術・仕立て・感性、どれをとっても非の打ち所がない完璧とも言える、非常に格式の高い座敷。
眺めているだけで様々な情報と教えをいただける、それほどの座敷は稀である。

その座敷に納めてあった襖の仕様・仕立ては、やはり確かなもので襖の修繕と張り替えの際に襖縁も同様に修繕と漆の塗り直しをしました。
漆の塗り直しは、わたなべ漆工房さんに依頼をし、惚れ惚れするほどの仕上がりを施していただき、現在私の工房は、漆特有の香りに包まれています。
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戦前の旧家(川原田家住宅)、襖・四本立の修繕と表具。
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本当に良い襖は、引手を見れば一目瞭然である。
今の時代にこの真鍮の引手を職人へ依頼したら、納期と予算を想像するだけで憂鬱になってしまう。
それ程に材料(素材)と精巧な技術が吹き込まれている。
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戦前の旧家(川原田家住宅)、襖・四本立の修繕と表具。
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作/松﨑青漣
書/故事ことわざ
紙/手漉き・本鳥の子和紙
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戦前の旧家(川原田家住宅)の小襖(地袋)の修繕と表具。
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作/松﨑青漣
書/和
紙/小原和紙
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ご依頼主のリクエストで急遽、一箇所だけ組子の間口を広げ通路を作りました。

組子の透かし襖だからこそ出来る手法です。

なんだかホッコリしてしまいます。C25431A9-D89D-42FF-876C-697AD769A137




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雲母が持つ独特の光沢感が美しい五七の桐の唐紙
意匠性の高いフォルムの赤銅月文字の引手

普遍的なデザインは、決して色褪せることはありません
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ガラス戸だったところを茶室で用いられる太鼓張り襖(坊主襖)で納めました。
以前のガラス戸は、非常に重く建て付けも悪いことから開け閉めが大変で施主様にとってかなりストレスなものでした。

透かし襖は、自然光を障子の様に柔らかく取り入れるだけでなく通常の建具と比べ、とても軽く扱い易いのが特徴です。

シンプルで洗練された普遍的なデザインのこの襖は、空間に簡素な美を演出してくれます。




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坊主襖とも呼びます。
障子ではありません。

日が落ち作業を終え、工房の照明を消すと現れる日常の風景。

和紙がもたらす温かな灯り。

贅沢な眺めです。




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数多ある引手の中でもこれほどに洗練されていて機能的で、デザイン性に優れているものはないと思っています。
そして単純に格好良いと思える所が重要だったりする。

このデザイン・アイディアが数百年前からあるのだから先人には敵わない。




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金細工の伝統工芸和紙です。
生き残った古典(クラシック)は、現代でも遜色ない品位があります。
こうして見ていると金細工の美しさは、星空のような輝きを持っています。
これを衝立に張り込みます。




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友人宅の襖の修繕と張替えをさせていただきました。色んな種類(質感、色味)の工芸和紙を組み合わせて仕立てています。
もともとご親族が住まわれていた古民家をリノベーションして、今は友人夫婦で住んでいます。
根尾の薄墨桜が近くにあり、とてもロケーションが良いところで、いつも向かう道中でどんどん心が浄化されていく感覚になります。

友人はパティシエで、現在は自宅の一角で『井上洋菓子研究所』という名で洋菓子屋さんを営まれています。
甘党の僕ら家族は、口をそろえて「ここのお菓子が一番おいしい」と言います。お世辞じゃないんです。本当に美味しいんです。食べてみれば分かります。笑顔の素敵なパティシエの人柄がより説得力を持たせています。是非ご賞味あれ。
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座敷、床の間、居間、寝室も張替えしましたが、プライベートな空間なので写真は玄関のみ。
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屏風も襖と調和するように同じ工芸和紙を使用して、修繕・張替えをしました。
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現在修繕中の某ご寺院様ご依頼の襖絵です。
写真は一枚(本)ですが、四本立の続き絵でサイズは、一枚巾:約三尺七寸五分(1136㎜)の大物です。
いわゆる二間半という規格サイズです。
劣悪な状態の襖絵ですが、修繕プランを幾通りも用意し、盤石の体制で臨んでいます。
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表具の中でも僕は、襖(ふすま)が一番好きかもしれない。
襖には、日本の文化・芸術・生活様式が凝縮されていて、襖の構造も素晴らしく作業工程も実に面白い。
ちなみにこの写真は障子ではなく、透かし襖(又は太鼓襖)と言われる歴とした襖です。

暗い部屋へ透かす柔らかな灯りが、なんとも優美。この灯りが嫌いだと言う日本人がいるなら会ってみたいものです。

襖は、灯りを通すことも臥すこともでき、部屋を間仕切りすることもでき、絵画を保存し鑑賞させることもでき、人の気配をほんのり伺うこともでき、そして扱う人の心(配慮)が試されるところが粋である。

本当の襖を知らない時代になって来ている、、
もっと多くの人に襖の持つ魅力を伝えたいっ、でも僕は焦っていない、、
こんな素晴らしいものが無くなるわけがないと言う確信があるからだ、、
そして僕が襖を守っていくからだ。




四国八十八ヶ所・納経帳を襖(ふすま)を利用して活かしたいっ!
そんな思いを選抜12枚の御朱印を用いて八十八を表現しました。
もちろん、襖の下地は既製品ではなく組子下地で本格的な特注襖下地です。
襖の上張りも上質な本鳥の子和紙で贅沢な仕様でお仕立てしています。
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本紙を筋廻しで化粧すると襖に品格がでます。
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