
創業145年の歴史ある老舗料亭の襖です。
建築物としても100年以上の年月が経っておりますが、今なお悠然とした佇まいで客人を迎えているようにみえます。
これは、現在の店主をはじめ先代から料理の味と共に建物を都度手入れを加えながら、大切にしてこられたのだろうと思います。
この度は、この広間の襖といくつかの客室の襖の修繕と張り替えを施工させていただきました。
既存の襖の状態は、何度か張り替えがなされていましたが、決して良い仕事とは言えるものではありませんでした。残念ながらこれは、特例ではなく私が携わった旧家の襖の張り替え仕事の殆どは、有り合わせの所謂手抜き仕事であることが現実です。
しかしながら、こうした古い建築物の襖の骨組みや当初の材料は、良質なものが残っていることが多く、そこを上手く活かしながら丁寧に腫瘍部分を取り除いていきます。
そうすることで、襖の状態は改善され、また数十年継続させていくことが可能になります。
私にとって表具の一番重要な理念は、使えるものは繕い直すことです。







