カテゴリ: 表創(HYO‐SOU)



染織家の伊村夕子さんの布を表具させていただきました

五箇山の悠久紙と綿を其々紡いだものを手織りで仕立てた布です
それ自体で申し分ない品に手を加えることの努めとして
私は、不自然ではない物語を紡ぐところから始めました

先ずは、『掛物(かけもの)』という言葉を敢えて用いました
掛軸や軸装と呼んでしまうと、少し硬い印象が出てしまい、
伊村さんの布の温かみや柔らかみが上手く引き出せないイメージがあったからです

では、俗に言う掛物と表具としての掛物の大きな差異は、『裏打ち』という施しの有無です
裏打ちの利点を挙げればきりがないのですが、端的に言うと美しさと保存です

裏打ち紙は、伊村さんの所望で布と同じく悠久紙を使用しました
楮で漉かれた極薄の悠久紙は、丈夫かつしなやかで、当然の如く布との相性も秀逸でした

接着剤は、古典的な正麩糊(小麦粉デンプン)のみですので馴染みも良いです
掛緒(かけお)と結びの紐は、伊村さんが制作した綿の組紐を採用し、
軸木は、悠久紙を張り重ねることで、布との繋がりを持たせています
収納箱も悠久紙を裏打ちしたものを張り、やはり繋がりを考えました

結びに、私の仕事は作品物を下支えすることに大義があり、表立つことは表具師の目指す道ではないと理解しています
しかしながら、そのお陰で伊村さんの表現に相まみえる次第となり、有意義な思考の時をいただき
心より感謝申し上げます

伊村夕子/白の掛物

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作/群英
書/孔子曰 有朋自遠方来 不亦楽乎
形式/デザイン表具
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戦前の趣ある旧家でお店を営む、Analogue Lifeの岩越さんから書『犇く』を額装にしたいとご相談頂いたのは、昨年のこと。
当初は、書に裏打ちをして額へ納めるという比較的易しい案件と理解しておりましたが、実物(書)を拝見し、また書を大事にしたいという想いを伺い、それでは書を長きに亘り愉しむこと・保存することは困難であることをお伝えしました。

beforeの写真では分からない部分、いわゆる書の内部・裏面の状況は決して良い状態ではなかったということです。岩越さんは、私の長々とした講釈にも熱心に耳を傾けてくださり、とても奥深い根幹を見つめる姿勢に表具師として悦ばしい思いでした。

実際に、修繕を開始してみると書の内部・裏面は、想像以上に劣悪な施しがしてあることが分かりました。
実は、このように一見では予測できない安易な事例は稀ではなくしばしばある為、修繕前にいかなる展開にも対応できるように、あらゆる準備をします。
そうすることで、どんな状況であっても平常でいられます。

今回は、この仕事を三部構成(修繕・下地製作・額装)の映像に納めておりますので、ご覧頂けましたら幸いです。
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▲before(修繕前の状態)F5E2EF7C-80D2-4A0A-A856-9BC7933A7563_1_201_a
▲after




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フレーム(額縁)は、岐阜県各務原市にあるtokotowaの小林さん(指物師)へお願いしました。
小林さんとは、初めてお会いした時に古くからの知り合い(友人)のような印象で、随分長話をしました。色々と話していくうちにいくつか面白い共通点があることも分かり、馬が合うはずです。
もちろん、仕事への向き合い方・技術やアイディアも豊富で尊敬できる素晴らしい方です。

フレームの材は、栗無垢の無塗装で製作していただきました。
栗は腐りにくく、耐水性もあり防腐処理をしなくても長年使用できる優れた木材ですので、今回の修繕と額装の趣旨にとても馴染みます。
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額装下地の裏面は、利休色の絓絹(しけぎぬ)を使用しました。
絓絹とは、絓糸を緯に織った平織りの絹織物を指します。絓糸は、繭から生糸を繰るときに、出てくる粗糸で玉節があり、太さが不ぞろいの糸のことでテクスチャーが私好みの材料です。

絓絹を表具で扱うということは、格式ある印であり、本来は然るべき高級な屏風や額装でしか見ることはありません。
但し、今回は伝統的な格式という趣向ではなく、書とフレームの相性と材料としての耐久性を重視した結果自然とそうなっていった感覚です。

私の目指す先は、常にシンプルであることに尽きます。
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【安田しげ子/犇く

寸法 -detail-
・幅:二尺三寸七分 × 高さ:二尺三寸四分/W:720㎜ × H:710㎜


素材-material-
・栗材(フレーム)/chestnut wood
・杉材(下地)/cedar wood
・和紙(純楮紙、他)/washi
・絓絹(裏面)/silk
・正麩糊(小麦粉澱粉)/japanese paste
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現在、マルセイユとベルリンを拠点に活動中の画家の佐伯洋江さんの作品を表具させていただきました。

詳しくは、noteに綴っております。

クリック ⇒ note(表具師 栗田浩次)
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イメージは、銀世界。
だから、表具に色素は要らない。

表具に使用した素材も裂地(布)ではなく、紙表具(和紙)にすることで和紙でしか表現できない簡素な表情が、より雪国の寒々しい印象を演出してくれています。
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作品(書)を書き上げる前の段階から、ご依頼主である書家さん自ら額装のデザインを思考され、そのリクエストに応える形で仕立てた額装です。
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福寿の双幅は、松月堂の所有物で私が知る限りでも30年は経っていたものを仕立て直ししました。
別段、状態が悪いわけではなかったのですが、今の松月堂のスタイルに装いを変えたかったからです。
やるべき仕事を優先させていた為、構想から3年程時間は掛かってしまいましたが、イメージ通りの仕上がりになりました。
細かな意匠の説明は専門的になってしまうので割愛しますが、双幅である利点を活かしたシンメトリーを基にめでたい『紅白』を薄めのえんじ色と光沢感のある銀色で演出しました。

福寿という縁起の良い題材なので、今後は毎年お正月の愉しみとして掲げていきたいと思います。
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絵/十一面千手観音立像
形式/真の行(仏表装)

漆黒の中に仄かに煌めく、十一面千手観音立像。
本紙の経年具合と漆黒を引き立てる取り合わせとして、薄茶系を基本にしました。

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掛物を空間に添えるだけ。
ただそれだけで、格好が良い。




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長野の善光寺近くにある、夏至(gallery&shop)店主の宮田さんから日置路花さんの書を軸装にしたいとご相談を頂いたのは、昨夏のことでした。
所有者と作者の想いを汲み、飾らない表具にしました。
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書/日置路花 ※表装前の状態
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以下は、この度の軸装に加えて製作動画とキャプションを私なりにまとめたものです。
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production video full ver.(製作動画)

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表具

この文字からは、見栄えや華美な装飾といった表層的なことを連想してしまうだろう…。
しかしながら、それは些か安易である。

ここ数年、私は表装美という言葉を意識しているが、ここで言う『美』は、表具の構造美や機能美といった一見では理解しがたいものであり、時間を掛けて説明するに他ならない。

私の求めている表具は、書や絵画を表装技術を持って下支えする事が第一本命で、表具の取り合わせ(デザイン)というものは、不自然でなければ良しであり、超絶技巧とも無縁である。

例えば、軸装することで本紙(作品)の未来は、数百年先まで残すことが可能だが、取り合わせ部分は、修繕の都度潔く新しくするものであり基本的には残らない。
本紙の経年変化に合わせて、やはり不自然でない取り合わせをし、維持させていく。

表具することは、決して大袈裟なことではなく所有者・作者の想いを手助けする、御用聞きのような位置付けとして理解してもらえると幸いである。

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【日置路花 軸装 -Jikuso-】

寸法 -detail-
・幅:二尺四寸×高さ:三尺二寸/W:727㎜×H:970㎜


素材-material-
・綿/cotton
・麻/linen
・正絹/silk
・和紙(純楮紙)/washi
・檜葉/wood
・銅/copper
・正麩糊(小麦粉澱粉)/japanese paste




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もう一年以上前のことです。
月日荘さんで華雪さんの作品を求めた時、既に表具のイメージは湧いていました。

裂地は、墨色。
縦に交わる白い二本の細い筋。
軸先は、杉材に墨を塗布し木肌を残す。

自身の表具は後回しにしていた為、最近ようやく仕立てることができました。
魅力的な作品に出会うと、創造性が豊かになります。
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彫刻家のご依頼で製作しました。
本格的な襖や屏風・額装と同じ構造の組子下地で仕立てた金箔の額装です。
側面も同じ金箔紙で施すことで、立方体として成り立ち、死角のないアートワークにしています。
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作/曽我量深
書/開神悦體
形式/二段表具

臙脂と深緑の相性の良さ。
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お茶の先生にご依頼頂いた風呂先屏風です。

若草色をメインに柔らかい印象の屏風にして欲しいというリクエスト。
私は屏風下地から製作するので、お茶室の寸法に合わせて幅や高さを細かく割り出し、丁度のサイズでお仕立てしました。

風呂先屏風は茶の湯に使用する道具なので、簡素の美をテーマに使用する材料もシンプルにしています。

仕事は、思考を止めないことで見えてくるものがあるような気がします。
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一目惚れした神保さんの短冊。

美濃和紙の特性を活かし、小さなフォーマットに落とし込む創造性にやられてしまいました。

低濃度をテーマにつづまやかな短冊掛けに表具しました。

作品を引き立てる為、一点一点テーマを掲げることを大切にしています。
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作/中村淳子
下地/本格組子下地(白木の杉材)
※数種類の和紙を何層も張り重ねて下地を形成しています
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中村先生の創造には、幾重にも積み重ねた試行錯誤の裏付けがある。
その姿勢は、意欲そのもの。
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作/中村淳子
下地/本格組子下地(白木の杉材)
※数種類の和紙を何層も張り重ねて下地を形成しています
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作/大橋翠石
書/鼠図
形式/二段表具

鼠色を主に。
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修繕費もご依頼主によって予算は様々です。
重要文化財等を専門に扱う機関であれば潤沢な修繕プランを立てることが可能ですが、一般的にはそうはいきません。
限られた予算の中で、然るべき修繕と表具をする事が私にできる事です。
どうぞ気軽な気持ちでご相談ください。
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書/墨蹟
形式/丸表具(横物)
軸先/サクラ材
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作/はる(書道家)
書/木龍

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作/はる(書道家)
書/美脳
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絵/燕と藤
形式/創作表具

藤の花を表具で表しています。
足元は軽やかなイメージでサクラ材の軸先。
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作/吉村美瑤
書/いろは歌

いにしえから今日までこの国に在り続けている
『いろはにほへと ちりぬるを』

桜の花は儚く、
散る時は春の風に吹かれゆらゆらと漂う

吉村さんの書から伝わる情景です。
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書家/吉村美瑤 作品/海

母なる海
生命の起源
どこまでも深い
優しく包み込んでくれる

そんな思いが込められた作品です。
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作家/はる(書道家) 作品/Mori Bito(守人)

鳥の様に見える中央の書は、守人と書いてあります。
はるさんの創造力にいつも感動させられます。
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その人らしさを表具で表せれるように心がけています。
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作家/はる(書道家) 作品/真

いつも思う、先ずは真っすぐ向き合ってみること。
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作家/はる(書道家) 作品/生きる

優しく柔らかい表情の中に、秘めたる力強さが宿っている。
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二種の金銀細工和紙を構成して額装にしています。
向かって右側は金銀砂子で、左側は銀細工(水切) です。




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意味を調べてみると、『文字が記してなく白く残っている部分』
書道家のはるさんのオーダーで仕立てた額装ですが、言葉の意味と作品が調和しています。

作家さんにとっては、憤りを感じてしまう時世ですが、作品(書)がより生かされるための意味のある空白の時間(余白)であってほしいと切に願います。




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【WAKA・武者】
 作品:若武者と鯉のぼり(友禅和紙)
 裂地:西陣織(古代風正絹)※無地部2色共に
 軸先:青磁
 収納:高級二重上桐箱(加州塗り箱・タトウ箱・美術品用防虫香付き) 
 ※高級桐箱(タトウ箱・美術品用防虫香付き)に変更可

 本紙サイズ【巾:47㎝ × 高さ:63㎝】
 掛軸サイズ【巾:73㎝ × 高さ:170㎝】※軸先含む

お問合せはこちら▼
info@shogetsudo-hyoso.jp




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『にちにちこれこうじつ』 毎日が良き日でありますように。
有名ではありますが、僕が好きな禅語の一つで、お茶の席で扱われる掛軸にこの言葉をよく見かけますね。
慎ましく清らかで、温もりを感じる茶の湯に重宝されるのがよく分かります。
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元々シミが酷く、欠損もあり甚だしい状態の色紙を修繕し掛軸へとリノベーションしています。僕の所有していた絵で一目で夏の風情が伝わるお気に入りの一品です。

表具は、絵の中にある配色のみを使用し、掛軸としての統一感を意識しながら作品(絵)に自然と目が行くように工夫しています。
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10月は、娘の誕生月。
娘が生まれた日に娘の名前を僕が書しました。
お食い初めの日までに仕上がるように、生まれる前から表具のデザインを考え、生まれた日から表装を開始。 表具のメインテーマは秋桜で、そこへ娘の名前と願いを込めたもう一つのテーマをディテールで表現しています。

この掛軸は、父から娘への最初のプレゼントです。




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『 一輪明月照禅心 』
※解釈 暗闇を照らす月の光は、 あたかも苦しみ悲しみの闇に暗む 私達の心を明るく照らす一筋の光明、 慈悲の心に 例えられます。 禅心とは、静まりかえった心の様子、 坐禅の心とも言えましょう。

心の闇を優しく照らす月明かりをイメージし、表具にしました。
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ご依頼主・東京都




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『 美よし野の山のしら雪積らしふるさと寒くなりまさる也里 』
※解釈 吉野の山では今ごろ白雪が積もっているのだろう、古都(奈良の都)でも寒さが増している、という歌。

吉野の山へ深々と雪が降り積もる様子をイメージし、表具で表現しました。
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ご依頼主・東京都




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もともと古い屏風に張ってあった色紙です。本紙(色紙)の状態は、経年劣化が甚だしいものでした。
先ずは、本紙の修繕を施してから色紙を掛軸へと表装しました。

さて、この掛軸は、表創(HYO-SOU)というコンセプトで仕立てています。
表具を創造する、、いわゆる古典的な形式に囚われない自由な発想を重要視しています。

近年、その類いの掛軸を見かけるようになっては来ていますが、僕にはある違和感があります。

黒を基調としたモダンでおしゃれな掛軸・・・
巧みな技を凝らした工芸品のような掛軸・・・
斬新なデザインの目を引くような掛軸・・・
何か忘れていないでしょうか、、、

表具の美は、本紙(作品)をさり気なく引き立てることであり、本紙の内容・意味・想いを理解してこそなのです。
だから僕の表創(HYO-SOU)には、頭から足の先・寸法の数字にまで、全て意味があります。
意味がなければならないのです。
その上で格好良いものを創るのです。
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この掛軸には、ご依頼主のとても温かい想いが込められています。
その想いに応えられるよう、僕も精一杯の気持ちを注ぎました。
表具への細かな拘りはもちろん、表具のデザイン・色味にも深いメッセージがあるんです。
すごくすごく説明したいけれど、僕とご依頼主だけのシークレットです、、、

時や場所、さらには国を越えて、愛のある作品に出会えるのが僕の仕事。
表具師で良かったと思える瞬間です。
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仏事は故人を偲ぶものであり、その上で掛軸は重要な役割を果たしています。
この書(佛心)は、特別な思いが込められており、その想いに応えることが僕の役割です。
ご依頼主は、故人のお人柄から華やかなで笑顔があり楽しく温かみのある仏事にしたい、と仰っていました。表装もそんなイメージが良いというリクエストです。

そうかぁ、、僕はハッとしました。
仏表装の概念に縛られていた自分がいました。
概念を取り払うことは、時に画期的なアイディアを生むことができるのだと改めて気付かされました。
ご依頼主の柔軟な思考と思いやりに感服しました。
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『金屏風を掛ける、空間に美を添える』

玄関サイズのミニ額装です。
仕様は、本格金屏風と同じクオリティです。
なぜなら金箔紙以外の材料は、ほぼ金屏風製作で出た廃材を使用しているからです。
よくあるパネルの額とは、似て非なるものです。
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【金箔・GAKUSO】
 表面:金箔紙(特殊着色加工)
 裏面:本鳥の子和紙(無地:茶系)
 下地:(白)杉材組子下地(和紙重ね張り本格仕上げ)
 受張:手漉き和紙(純楮)

 サイズ【W47㎝ × H25㎝ × D2㎝】

 お問合せはこちら▼
 info@shogetsudo-hyoso.jp




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ご依頼主のイメージと予算を考慮し、この『 書 』を最大限引き立てる表具をしました。
実際にみるとよく分かるのですが、表具の黒は、墨(書)の黒よりもワントーン落とした色味です。
これは、ミニマルでモノクロなデザイン表具から、自然に『 書 』を浮かび上がらせることにより、立体感と作品の主張を補っています。
また、写真では分かりづらいですが、本紙には、薄緑色の細い(3厘)の筋廻しを施しています。
本紙と表具の間に細い隙間を開けることで、無機質な表具の緊張感を和らげているのです。
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軸先は、清水焼(鉄砂流)




以前にご紹介した(6月26日blog)お雛様の刺繍。
刺繍が趣味のおばあちゃんが、娘孫に送る為にご依頼されたものです。
とっても可愛らしい作品ですので、そのイメージを受けて一般的な表装形式ではなく、
デザイン表具で仕立てました。
テーマは、作品がふんわりと花が咲くような感じです。
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松月堂でデザインする表創(HYO‐SOU)には、
『本紙から受けた・ご依頼主から受けた』ことをテーマに
意味と思いを込めてお仕立てしています。

なんとなくお洒落だから、斬新だから、という安易な感覚では表創しません。

あくまで表具は、本紙を引き立てる脇役に過ぎません。
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デザイン表具(表創 HYO‐SOU)
ご依頼主:岐阜県各務原市



 

松月堂でデザインする表創(HYO‐SOU)には、
『本紙から受けた・ご依頼主から受けた』ことをテーマに
意味と思いを込めてお仕立てしています。

なんとなくお洒落だから、斬新だから、という安易な感覚では表創しません。

あくまで表具は、本紙を引き立てる脇役に過ぎません。
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デザイン表具(表創 HYO‐SOU)
ご依頼主:岐阜県各務原市




はくうんおのずからきょらいす
松山萬密(妙心寺派第27代管長)書

『青山元不動(せいざんもとふどう)』とセットで使用される禅語です。
青山という本体は不動であるが、白雲が去来することによって時々刻々相貌を変えていき、さらに趣を増すこともある。自分は泰然としていて、かつ変化してやまない。

この言葉が似あう人に憧れます。
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Hina・JIKU】にインスパイアされた【WAKA・武者】は、端午の節句にお似合い
【WAKA・武者】が強く、たくましく育つ男の子を優しく見守ってくれます

Hina・JIKU】と比べ、表具の柱を太くすることによりたくましさをイメージし、色味は藍色で日本男児らしさを演出しました
本紙筋廻しと掛軸の覆輪(両サイド)は3厘(約1mm)と極細仕立てです
軸先は、誠実で爽やかな色味の青磁を使用

とにくデザイン・仕様にはとことん拘って表装しました

息子を想う、父の力作です
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【WAKA・武者】
 作品:若武者と鯉のぼり(友禅和紙)
 裂地:西陣織(古代風正絹)※無地部2色共に
 軸先:青磁
 収納:高級二重上桐箱(加州塗り箱・タトウ箱・美術品用防虫香付き) 
 ※高級桐箱(タトウ箱・美術品用防虫香付き)に変更可

 本紙サイズ【巾:47㎝ × 高さ:63㎝】
 掛軸サイズ【巾:73㎝ × 高さ:170㎝】※軸先含む

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本紙(作品)のイメージをデザイン表具で表現しました
使用する裂地の色味・柄はもちろん、軸先にもこだわりました

 【Hina・JIKU】が桃の節句を華やかな空間にしてくれます
初節句を祝う女の子へ『一生モノの贈り物』を

掛軸は大切に扱えば、一代を見守ってくれます
でも、そこには『本物』の技術が不可欠

松月堂・四代目表具師が全工程手作業で心を込めてお仕立てしています
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【Hina・JIKU】
 作品:立雛(友禅和紙)
 裂地:西陣織(武田菱)※アクセント部
 軸先:朱塗り蒔絵唐草
 収納:高級二重上桐箱(加州塗り箱・タトウ箱・美術品用防虫香付き) 
 ※高級桐箱(タトウ箱・美術品用防虫香付き)に変更可

 本紙サイズ【巾:46㎝ × 高さ:64㎝】
 掛軸サイズ【巾:65㎝ × 高さ:158㎝】※軸先含む

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