カテゴリ: ◆表装ラボ◆

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この写真をご覧いただくと、もう不可能かと思ってしまいます。

しかしながら、私にとってこれは日常であり、可能だというイメージが湧いてきます。
表具の基本的な技法である『裏打ち』を施すことで、情報が継続していく可能性が高くなっていくのです。
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▲before
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▲途中段階
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▲after(※途中段階は裏向きで、この写真は表向きです)




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表具師が和紙を切断する際は、刃物で断つだけではなく、和紙の繊維が毛羽立つように『喰い裂き』という技法を用います。
このふんわりとした和紙の毛羽を見ていると、材料として扱うことに躊躇ってしまう自分がいます。




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色とりどりの焼物の軸先。
どれをどう取り合わせるか悩んでしまいます。
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初めて市松模様を深く意識したのは、18年前のことです。
当時、桂離宮に魅了されていた私は衝動のままに京都へ通っていた頃がありました。とにかく日本の建築物に飢えていました。(今思えば、未熟な考えでしたが、、)

松琴亭に納めてあった市松模様の襖の衝撃は、今も色濃く覚えています。
その時から市松模様への特別な思いと、表具師として襖への向き合い方も一変しました。

この襖紙を戦前の建築物に納めます。
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▲before
ご依頼主のご希望によっては、朱肉を除去作業をする場合もございます。
しかしながら、決して簡単にお勧めするものではないので、ご相談の際は慎重にご案内を進めさせていただきます。
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▲after(台紙なし)




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▲before
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▲after
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▲after(台紙なし)




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▲before

修繕最中の蛇腹式の過去帳です。

中央に強く折れがあり、よく見ると白いもので修理(補強)されているのがお分かりでしょうか。
これは白いビニールテープで、応急処置でやりがちですが、決してやってはいけないランキング1位です。
その理由を話すと長くなるので割愛しますが、本紙(作品)に多大なる悪影響を及ぼし修繕が困難になる可能性が高くなります。
幸い今回は、上手く除去する(剥がす)ことが出来ましたが、状況・条件によっては手の施しようがないこともありますので、応急処置を行う前にご相談されることをお勧めします。
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▲after




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これが除去した白いビニールテープです。




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ヘンプの均一的ではない表情が、この生地の魅力です。
通常の表装裂地とは厚みやクセが異なる為、一筋縄ではいきませんが、工夫する作業こそ職人のやりがいです。
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裏打ちには、基本的に3サイズの打ち刷毛を使用します。
写真の打ち刷毛は、中サイズのもので重くなく、軽くなく使い勝手の良さが気に入っています。
ちなみにこの刷毛は40年ものですが、未だに良い仕事をしてくれるバリバリ現役です。
良い道具は、メンテナンスをし大事に扱えば時代を超えて長く愛用することができます。




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僅かな綻び。

999人が気がつかなくても、
たった1人に気づかれてしまうことが、
悔しいと思ってしまう性分。

そして何より、自分自身が納得できるかが一番重要である。




状態の甚だしい冊子(帳面)を修繕させて頂きました。
afterのお写真をご覧になると少々気になる点があるかと思われます。

既存の冊子は、糸で和綴じされていたものでしたので、本来であれば修繕後同じように和綴じすることが常でありますが、それはどちらかというと美術品としての側面に偏っているのかもしれません。
しかしながら、保存という観点で見てみると違和感が生まれてきます。

この冊子はご依頼主と相談の上、美術品としての要素より貴重な資料として重要なものだと理解したため、敢えて和綴じをせず一枚一枚単体であるべきと設定し、修繕を施しました。

もちろん頁は、既存の並び順にしています。
また、今後資料に触れることも考慮し、四方は和紙で余白を設け、既存にはなるべく負担を掛けさせないように工夫しています。
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▲before
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▲after




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▲before
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▲after




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▲after(題箋も同様に施しています)
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題箋を剥がすと元々の記載が現れた為、これも資料と判断し敢えて張り直しをせず単体として扱っています。




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▲before(裏表紙)
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▲after




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▲after




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▲after




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▲before
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▲after




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色々な寸法の組子下地を製作中。

目に見えない下地部分とはいえ、僅かな綻びがあるだけで表面(作品)にまで影響することもあります。

大抵の人は気にならない程度のことかも知れませんが、私にとっては気になって仕方がない。
だから、それを取り払うように手を掛けていきます。
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色合わせは、じっくり納得のいくまで何度も調合し直します。




 

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美濃竹紙工房の鈴木さんの漉いた本美濃紙です。

鈴木さんの和紙は、なかなか手に触れることのできない貴重な品ですが、縁あって障子張りに使用させていただきました。

その貴重さのせいもあってか、現代では障子張りに用いるのはとても贅沢なことになってしまっています。しかしながら、これが最も適した使用方法だと理解しています。

もちろん、表具する上で掛軸の裏打ちや屏風の下張り等々多岐にわたって使用しますが、それは表具の構造や機能面において和紙の働きが良いからであって、手漉き和紙本来の美しさや温もりは、一見では感じられません。

陽の光を絶妙な具合に調節して透かす和紙の明かりは、障子でしか味わえないのです。

光の調節以外にも、夏は暑さを抑え、冬は冷気から守り、一年を通して湿度をコントロールし、通気性も備えています。純楮の手漉き和紙なので、丈夫で長持ちします。

良いことを挙げたらキリがないですが、やはり現実的には高価な物なので手に取りづらいと思います。
私は表具師として、和紙に限らず様々な材料を作ってくださる職人さんへ一つでも多く依頼をし、その関係性を継続できればと常に危機感を持ちながら仕事をしています。

然るべき事宜に、この本美濃紙を思い出していただけたら嬉しいです。

youtube ⇒ 障子張り 
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毎年、大寒の頃に古糊の仕込みをします。
古糊は表具師にとって欠かせない材料で、掛軸等をしなやかな仕上がりにさせることができます。
今年は五号(9L)の甕を二つ仕込みました。

寒い中、この作業をしていると段々と心が整ってくるのを感じます。

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このお線香は、奈良県のご依頼主からの頂きもので、三本が一本になった珍しいお線香です。何より香りがとても良く、心が落ち着きます。
 

昨年、最初のご依頼主は神奈川県からのご来訪。
今年、最初のご依頼主は奈良県からのご来訪。
 

何年も前からイメージしていたことは、自分の理想としている表具師のスタイルで、岐阜までわざわざ私に会いに来てもらえる人になることでした。
 

今年も嬉しく有難い年始です。
 

岐阜の田舎で、しかも表具師という知名度も需要も乏しい仕事で高い目標を持ち続けることは、私の様に気づきの遅かった人間にとっては、簡単ではありません。
 

2024年も気合い入れます。
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福寿の双幅は、松月堂の所有物で私が知る限りでも30年は経っていたものを仕立て直ししました。
別段、状態が悪いわけではなかったのですが、今の松月堂のスタイルに装いを変えたかったからです。
やるべき仕事を優先させていた為、構想から3年程時間は掛かってしまいましたが、イメージ通りの仕上がりになりました。
細かな意匠の説明は専門的になってしまうので割愛しますが、双幅である利点を活かしたシンメトリーを基にめでたい『紅白』を薄めのえんじ色と光沢感のある銀色で演出しました。

福寿という縁起の良い題材なので、今後は毎年お正月の愉しみとして掲げていきたいと思います。
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▲before




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▲before
シルクのサテン生地は、表装用裂地とくらべると非常に扱いづらく裏打ちにも工夫が必要です。 
純白となるとより一層、細部にまで気を使います。
丁寧に裏打ちを施すことで、シワやヨレは皆無です。
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▲after




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▲after






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本紙欠損部分の補彩(補色)をしている様子です。




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数ヶ月前に特別なお茶会で使用するということで、表装(製作)した屏風です。
本来よくある水屋屏風は、屏風の縁は黒塗り若しくは焦げ茶といったものが一般的です。
もちろん、それが良くないということではないのですが、美しい本鳥の子和紙を張り上げた屏風には少し主張が強い印象が残ってしまいます。

茶の湯の精神になぞりトータルで簡素な仕立てにする目的で、屏風縁は杉の無垢材にし、杉が持つ柔らかさと木目の表情や屏風を手で持った際の木の温かみを感じてもらえるよう工夫しました。

屏風の裏面も『紺色・焦げ茶・深緑』といった濃いめの和紙が当たり前とされている為、お抹茶の色味をイメージし、鶯色にしています。※写真では濃いめに見えますが、実際はもう少し薄い色目です

私の仕事は、普段あるものを奇をてらったように大きく変えるのではなく、僅かな思考がモノを創っていく上で大切なのだと思います。
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修繕前の本紙(絵)に剥落止めをしている様子です。




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「過度に拘った、、伝統的な、、」ということではなく、自分にとってそれが自然で使い易いことが、
長く職人を続けていくコツのような気がします。

糊と桶と刷毛と私の相性も良い具合です。
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イボタロウムシから採取した動物性の蝋です。
軸装仕上げ(裏摺り)の際に、滑りを良くするために裏面全体に軽く擦り付けます。





破れ、欠損、虫食い、無数の折れとシワ…状態の甚だしい古文書である。

モノはいずれ朽ちていく。

その速度を抑える作用が修繕であると考えています。

この写真のbefore→afterは、決して蘇っているわけではなく、既存の可能性を高めているに過ぎない。

私は、その既存の未来を少しだけ変えてあげられる仕事をしているのかも知れない。DSC005340001
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▲after




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▲before
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▲after




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▲before
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▲after




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ボリュームがあるので、二部構成にしています。
この住宅の素晴らしさは家の外にも溢れています。
とても丁寧に手入れされている庭を見て、大切なのは今も尚、暮らしがこの住宅にあることです。

ここに住まわれている川原田ご夫妻の家に対する愛情や日常が見えてくることが、建築を維持していく上で一番の栄養であると思うのです。
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先日、愛知県名古屋市にある『川原田家住宅』へ仕事の打ち合わせを兼ねて伺いました。

昭和12年に建築された二階建て木造建築で、至る所に職人の粋を感じられる豊かな住宅でした。

私は表具師なので、襖や障子を見ればその建築の質やポテンシャルもある程度、測ることが出来ます。
ポイントとしては、

・築年数に対しての建付けの良さと納め方
・襖や障子に使用されている材料と仕立ての良さ

何故かと言えば、建築において襖や障子はあまり意識の届かない部分であることが多く、そこに予算を掛けない傾向にあるからです。

しかしながら、名建築であれば逆にその細部にこそ意識を配る為、自ずとそれ以外の部分も相乗効果で、質の高い建築物になってくるのです。もちろん、職人の質も高いものが求められていきます。

この住宅は、正にそれである。

川原田家住宅主屋 文化遺産オンライン (nii.ac.jp)

オンラインあいたて博 川原田家住宅 - YouTube
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和紙を柿渋で染めました。
濃度を調節しながら、イメージする色味へと仕上げていきます。

柿渋染めの和紙は、見た目の美しさだけでなく、防腐・抗菌性や耐久性を高めてくれます。

作品を守ることが大前提の表具師としては、頼もしい味方です。DSC02438




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例えば、真の真(仏表装)という形式の掛軸は、15パーツの裂地や和紙で構成されています。

掛軸の仕事は、一度に8幅程度を同時進行する為、約120パーツを用意することになります。

採寸・取り合わせ・裏打ち・裁断・順番の整理といった準備作業には、とても時間が掛かります。

でもその準備時間こそ、高い精度が求められる作業に向けて、心を整える時間にもなっています。
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掛軸(本紙)の修繕工程の一コマ。

修理や修復という言葉ではなく、修繕(繕い直す)という言葉のニュアンスで作業をするように心掛けています。




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天地は、綿麻。
中廻しは、絹。

二段表具に使用する裂地です。
楮紙の和紙で、肌裏打ちをする段取りをしています。

天地と中廻しでは、裂の厚みが異なるので、裏打ち和紙の厚みも微妙に変えています。

そうする事で、均一の厚みが保たれたバランスの良い掛軸になります。




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古い軸先のクリーニング。
優に50年以上は経っているものです。

クリーニング後、本金鍍金を真新しく塗り替える手段もありますが、掛軸の主である本紙(作品)の経年変化(風合い)に合わせて、不自然にならない修繕をトータルで行うことを心掛けています。

汚れを丁寧に除去することで、職人の細やかな仕事が見えてきました。
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▲after




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▲before
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▲after




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▲before
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▲after




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数年ぶりに工房の雪見障子を張り替え。
表具師なので、もちろん千鳥張りを施しました。千鳥張りはとても手間の掛かる作業の為、時間も通常の五倍ほどです。
使用した和紙は手漉きの本美濃紙で、陽を通す具合も本美濃紙ならではの優しく温かみのある調子です。

そして、今回は障子剥がしを息子が手伝ってくれました。
ゆっくりでもいいので丁寧に仕事をすることを教えました。
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良い顔と手付きしてます。笑
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総裏打ちに使用する刷毛です。
多いと思われるかもしれませんが、適材適所にこの七種の刷毛は必須になります。
私の年齢に近い刷毛も日々の手入れで、未だに現役で活躍してくれます。

さぁ、明日から年内最後の総裏打ちが始まります。
気合入れます。




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現在、屏風や額装の下地を黙々と製作中。
木工作業も表具師として重要な仕事の一つです。
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仏画の彩色部分(絵具)に膠液で剥落止めをしています。
古い日本画は絵具の定着が儚く脆いため、こうした地道な作業を部分毎に数日間掛けて行います。
ゆっくりじっくり本紙の状態を確かめながら修繕作業は始まっていくのです。




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裏打ちした本紙のシワやヨレを無くす為、そして本紙の状態をチェックしながら綺麗に仕事をする為、仮張りはとても大切な工程です。

これを双幅の軸装へ仕立てます。




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修繕費もご依頼主によって予算は様々です。
重要文化財等を専門に扱う機関であれば潤沢な修繕プランを立てることが可能ですが、一般的にはそうはいきません。
限られた予算の中で、然るべき修繕と表具をする事が私にできる事です。
どうぞ気軽な気持ちでご相談ください。
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書/墨蹟
形式/丸表具(横物)
軸先/サクラ材
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▲before




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▲after




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字の如く、三段になっていることからそう呼ばれています。
この表具形式を正式には行の行と言い、茶道・華道を嗜んでいる方なら馴染みがあるかと思います。

三種の裂地を扱いながら、本紙(作品)を引き立てる取り合わせ作業はとても悩みます。
対比・調和・繋がり…といった言葉を頭に浮かべながら導き出していきます。
今回は、古裂と金襴を取り合わせました。
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一文字や風帯に用いられる表具裂。
竹屋町は、金糸縫の一種で紗や羅などの薄物に平金糸や色糸で文様を縫ったものです。
十七世紀に京都の竹屋町の辺りで優れた紗が織られ、それに縫いをしたため、このような名称となったと言われています。
好きな表装裂の一つです。
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現代において、この言葉に相応しい人は少ないのかも知れない。

先日、表具の打合せをさせて頂いたご依頼主は正に数寄者である。

もう8,9年のお付き合いになります。とても物腰の柔らかいお方ですが、その拘りにはいつも感心させられます。

茶掛けが好きな理由は、見た目のバランスだと仰います。もちろん、書の意味やストーリーも熟知しておられますが、重要なのはビジュアル。

通りで話しが合うはずです。




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表に釘を見せない無双仕上げの屏風縁の留は、一発勝負。
良い仕上がりになりました。
初お披露目は、ご依頼主にとっておきます。DSC00132




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屏風に使用する縁の準備。
無垢の良さや経年変化をより楽しんでもらう為、敢えてコーティング処理をしていません。




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掛軸は大きな一枚ものではなく、プラモデルの様にパーツを継いて構成されています。

継ぎ目は、1分(約3㎜)です。94B82EF5-84C3-4F1C-B059-F95C548D05D1




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表具師は、帙(ケース)や貼り箱も仕立てます。

もちろん、ご依頼品を収納することを目的とした特注の場合に限りますが。

今回は、ご依頼主のオーダーに合わせて古裂を使用しました。

和紙・裂(布)・糊・糸で仕立てられるものは恐らくどんなものでも可能です。

例えば、和綴じ・御朱印帳も特別な時にだけ仕立てます。

全て表装技術が成せる技です。
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プラスチック製ではなく、骨
小鉤を使用しています。

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上蓋の裏は、金銀砂子紙で化粧しています。



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先日、久しぶりに糊桶を新調しました。

あまりの仕立ての良さに思わず何枚も写真を撮ってしまいました。

蓋のデザイン・小口の滑らかな仕上げ・シームレスと思ってしまう程のしっとりとした繋ぎ目・そして、ステンレス製のタガが全体を引き締めてくれている。

木桶は管理に少々手が掛かりますが、使っている感があって良い。

これから自分の手に馴染ませていくのが楽しみです。
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日本には古来から空間の境界として衝立がある。

もちろん表具には、襖や屏風といった間仕切り(境界)も存在するが、衝立は極めて結界に近い感覚が僕にはある。
衝立は襖や屏風と違い、空間を大きく遮ることはできない。
そこに居る互いの気遣いが不可欠で、双方の配慮によって衝立の役割は成立する。

美と心の共存である。

考えてみると、寺院、店や家の玄関にあるのはそういうことなのである。
外界と内界の境に存在する。

この古き良き日本の美を衝立は教えてくれている。
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少し突っ込んだ話をすると、和モダン・和テイストの様な軽はずみな造語に正しい和など無いと思っている。
和室という言葉にさえ疑問が残る。
和を正しく取り入れた空間もあまり見かけない。
畳があって床の間があって、掛軸や額が掛けてあれば和室なのだろうか、、、
いや違う、座敷という見方が正しい方向性であると思う。
和の様式・基本を知っていれば、打ちっ放しコンクリートの空間にも座敷を表現することは可能である。

一つ言えることは、正しい和の方向性を表具師は知っている。
申し上げたことは、あくまで洒落である。笑




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名古屋にある月日荘さん企画のもと製作した『短冊掛け』です。
裂地は表情豊かなカディコットンで、通常の短冊掛軸を再構築するように高さ・巾・糸巾・軸先のサイズ感を細かく見直しています。
全ては、短冊が自然に引き立てられるようにする為の仕立てであることが目的です。

短冊という小さなフォーマットで、書・絵画・アートを気軽に愉しんでみてください。

YouTubeでProduction video(製作動画)も公開しております。
クリック ⇒ 短冊掛軸 production video - YouTube


張る・撫でる・打つ・断つ・付ける・継ぐ・結ぶ


表具師の基本動作を映像に納めています。
手仕事でしか成し得ない技をご覧ください。


余談ですが、先日ある中学生の動きの所作を映像で拝見しました。
無駄のない動き、一点集中する瞬発力、次の初動への流れ、大の大人が心を打たれてしまいました。
彼の師からすれば、まだ発展途上ではあるのですが、僕にとっては動き(所作)を見つめ直す貴重なキッカケになりました。

無駄がないとは決して余白が無いというわけではなく、一瞬の間(余白)を大切にしようとする心が彼から感じられ、その部分に人となりが現れてくるのだと思います。

僕もそうなれるように精進せねば。
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Sサイズ・Mサイズ・Ⅼサイズで展開しています。
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こうして並べてみると、御菓子の様で美味しそう見えますが、陶器の軸先です。

軸先は掛軸の足元を印象付ける大事なパーツです。

陶器の軸先は、一つ一つバラつきがある為少し気を使いますが、表情に味があり見ていて飽きないです。
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古裂・新裂、素材は綿・麻・絹・その他様々です。

裂毎に一点一点、工夫しながら縮み矯正を掛けていきます。

そうする事で、裏打ちする際に変化が起こっても慌てず対処出来ます。

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書 華雪
短冊掛け

3/25(金)-3/31(木)
於 月日荘
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ご依頼主のリクエストで急遽、一箇所だけ組子の間口を広げ通路を作りました。

組子の透かし襖だからこそ出来る手法です。

なんだかホッコリしてしまいます。C25431A9-D89D-42FF-876C-697AD769A137




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四曲半双の金屏風と黒屏風を製作しています。

一面/巾:尺五寸(45㎝)×高さ:二尺三寸(69㎝)と小ぶりで、ご依頼主のオーダーに合わせてのオリジナルサイズです。

四曲屏風は、二曲屏風と比べ色々な使い方が出来ます。




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