カテゴリ: ◆表装ラボ◆
本美濃紙
軸先は、靴である。
青二才
朱肉の除去
安易な修理は、危険。
Hemp
棕櫚刷毛
detail
冊子の修繕と保存 其の一(表紙)
状態の甚だしい冊子(帳面)を修繕させて頂きました。
afterのお写真をご覧になると少々気になる点があるかと思われます。
既存の冊子は、糸で和綴じされていたものでしたので、本来であれば修繕後同じように和綴じすることが常でありますが、それはどちらかというと美術品としての側面に偏っているのかもしれません。
しかしながら、保存という観点で見てみると違和感が生まれてきます。
この冊子はご依頼主と相談の上、美術品としての要素より貴重な資料として重要なものだと理解したため、敢えて和綴じをせず一枚一枚単体であるべきと設定し、修繕を施しました。
もちろん頁は、既存の並び順にしています。
また、今後資料に触れることも考慮し、四方は和紙で余白を設け、既存にはなるべく負担を掛けさせないように工夫しています。
▲before
▲after
▲before
▲after
▲before
▲after
▲before
▲after
▲before
▲after(題箋も同様に施しています)
題箋を剥がすと元々の記載が現れた為、これも資料と判断し敢えて張り直しをせず単体として扱っています。
▲before(裏表紙)
▲after
▲before
▲after
▲before
▲after
▲before
▲after
afterのお写真をご覧になると少々気になる点があるかと思われます。
既存の冊子は、糸で和綴じされていたものでしたので、本来であれば修繕後同じように和綴じすることが常でありますが、それはどちらかというと美術品としての側面に偏っているのかもしれません。
しかしながら、保存という観点で見てみると違和感が生まれてきます。
この冊子はご依頼主と相談の上、美術品としての要素より貴重な資料として重要なものだと理解したため、敢えて和綴じをせず一枚一枚単体であるべきと設定し、修繕を施しました。
もちろん頁は、既存の並び順にしています。
また、今後資料に触れることも考慮し、四方は和紙で余白を設け、既存にはなるべく負担を掛けさせないように工夫しています。
▲before
▲after
▲before
▲after
▲before
▲after
▲before
▲after
▲before
▲after(題箋も同様に施しています)
題箋を剥がすと元々の記載が現れた為、これも資料と判断し敢えて張り直しをせず単体として扱っています。
▲before(裏表紙)
▲after
▲before
▲after
▲before
▲after
▲before
▲after
屏風の下地(骨組み)
Adjust
本美濃紙 障子張り
美濃竹紙工房の鈴木さんの漉いた本美濃紙です。
鈴木さんの和紙は、なかなか手に触れることのできない貴重な品ですが、縁あって障子張りに使用させていただきました。
その貴重さのせいもあってか、現代では障子張りに用いるのはとても贅沢なことになってしまっています。しかしながら、これが最も適した使用方法だと理解しています。
もちろん、表具する上で掛軸の裏打ちや屏風の下張り等々多岐にわたって使用しますが、それは表具の構造や機能面において和紙の働きが良いからであって、手漉き和紙本来の美しさや温もりは、一見では感じられません。
陽の光を絶妙な具合に調節して透かす和紙の明かりは、障子でしか味わえないのです。
光の調節以外にも、夏は暑さを抑え、冬は冷気から守り、一年を通して湿度をコントロールし、通気性も備えています。純楮の手漉き和紙なので、丈夫で長持ちします。
良いことを挙げたらキリがないですが、やはり現実的には高価な物なので手に取りづらいと思います。
私は表具師として、和紙に限らず様々な材料を作ってくださる職人さんへ一つでも多く依頼をし、その関係性を継続できればと常に危機感を持ちながら仕事をしています。
寒糊炊き
仕事始め
福寿 → 福寿
シルクサテンの裏打ち
ワントーン抑える
水屋屏風
数ヶ月前に特別なお茶会で使用するということで、表装(製作)した屏風です。
本来よくある水屋屏風は、屏風の縁は黒塗り若しくは焦げ茶といったものが一般的です。
もちろん、それが良くないということではないのですが、美しい本鳥の子和紙を張り上げた屏風には少し主張が強い印象が残ってしまいます。
茶の湯の精神になぞりトータルで簡素な仕立てにする目的で、屏風縁は杉の無垢材にし、杉が持つ柔らかさと木目の表情や屏風を手で持った際の木の温かみを感じてもらえるよう工夫しました。
屏風の裏面も『紺色・焦げ茶・深緑』といった濃いめの和紙が当たり前とされている為、お抹茶の色味をイメージし、鶯色にしています。※写真では濃いめに見えますが、実際はもう少し薄い色目です
私の仕事は、普段あるものを奇をてらったように大きく変えるのではなく、僅かな思考がモノを創っていく上で大切なのだと思います。
剥落止め
正麩糊とサワラ桶
イボタ蝋
二つの未来
川原田家住宅 Part2
川原田家住宅 Part1
先日、愛知県名古屋市にある『川原田家住宅』へ仕事の打ち合わせを兼ねて伺いました。
昭和12年に建築された二階建て木造建築で、至る所に職人の粋を感じられる豊かな住宅でした。
私は表具師なので、襖や障子を見ればその建築の質やポテンシャルもある程度、測ることが出来ます。
ポイントとしては、
・築年数に対しての建付けの良さと納め方
・襖や障子に使用されている材料と仕立ての良さ
何故かと言えば、建築において襖や障子はあまり意識の届かない部分であることが多く、そこに予算を掛けない傾向にあるからです。
しかしながら、名建築であれば逆にその細部にこそ意識を配る為、自ずとそれ以外の部分も相乗効果で、質の高い建築物になってくるのです。もちろん、職人の質も高いものが求められていきます。
この住宅は、正にそれである。
川原田家住宅主屋 文化遺産オンライン (nii.ac.jp)
オンラインあいたて博 川原田家住宅 - YouTube
伝統の染料
平常心の作り方
繕う
二種の和紙
natural(ナチュラル)
障子の千鳥張り
七種の刷毛
杉の組子下地
剥落止め(滲め止め・色止め)
仮張りと乾燥
修繕と表具
三段表具
竹屋町
数寄者
寸止め
白木の杉材
切り継ぎ
十八番
木曽さらわ
衝立という境界
日本には古来から空間の境界として衝立がある。
もちろん表具には、襖や屏風といった間仕切り(境界)も存在するが、衝立は極めて結界に近い感覚が僕にはある。
衝立は襖や屏風と違い、空間を大きく遮ることはできない。
そこに居る互いの気遣いが不可欠で、双方の配慮によって衝立の役割は成立する。
美と心の共存である。
考えてみると、寺院、店や家の玄関にあるのはそういうことなのである。
外界と内界の境に存在する。
この古き良き日本の美を衝立は教えてくれている。
少し突っ込んだ話をすると、和モダン・和テイストの様な軽はずみな造語に正しい和など無いと思っている。
和室という言葉にさえ疑問が残る。
和を正しく取り入れた空間もあまり見かけない。
畳があって床の間があって、掛軸や額が掛けてあれば和室なのだろうか、、、
いや違う、座敷という見方が正しい方向性であると思う。
和の様式・基本を知っていれば、打ちっ放しコンクリートの空間にも座敷を表現することは可能である。
一つ言えることは、正しい和の方向性を表具師は知っている。
申し上げたことは、あくまで洒落である。笑
和を正しく取り入れた空間もあまり見かけない。
畳があって床の間があって、掛軸や額が掛けてあれば和室なのだろうか、、、
いや違う、座敷という見方が正しい方向性であると思う。
和の様式・基本を知っていれば、打ちっ放しコンクリートの空間にも座敷を表現することは可能である。
一つ言えることは、正しい和の方向性を表具師は知っている。
申し上げたことは、あくまで洒落である。笑
白い短冊掛軸
名古屋にある月日荘さん企画のもと製作した『短冊掛け』です。
裂地は表情豊かなカディコットンで、通常の短冊掛軸を再構築するように高さ・巾・糸巾・軸先のサイズ感を細かく見直しています。
全ては、短冊が自然に引き立てられるようにする為の仕立てであることが目的です。
短冊という小さなフォーマットで、書・絵画・アートを気軽に愉しんでみてください。
YouTubeでProduction video(製作動画)も公開しております。
クリック ⇒ 短冊掛軸 production video - YouTube
張る・撫でる・打つ・断つ・付ける・継ぐ・結ぶ
表具師の基本動作を映像に納めています。
手仕事でしか成し得ない技をご覧ください。
余談ですが、先日ある中学生の動きの所作を映像で拝見しました。
無駄のない動き、一点集中する瞬発力、次の初動への流れ、大の大人が心を打たれてしまいました。
彼の師からすれば、まだ発展途上ではあるのですが、僕にとっては動き(所作)を見つめ直す貴重なキッカケになりました。
無駄がないとは決して余白が無いというわけではなく、一瞬の間(余白)を大切にしようとする心が彼から感じられ、その部分に人となりが現れてくるのだと思います。
僕もそうなれるように精進せねば。
Sサイズ・Mサイズ・Ⅼサイズで展開しています。