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この作業は、掛軸の軸先を取り付けるために軸棒を削っている様子です。

昔(20年位前まで)は、機械ではなくノコギリ・出刃包丁をメインに数種類の道具で手作業のみで行っていました。
ちなみに僕は根っからの職人気質ですが、『手作業のみで』とか『伝統技法』に拘りはありません。それよりもっと先にある『良い物』ができるのであれば、手段は択ばないと思いながら日々仕事をしています。

表具師の様に伝統ある職というものは、『旨味のある歌い文句』に流されがちですが、その技法を発案した当時の職人は、おそらく伝統技法になると思っていたわけではなく、ただ『良い物』を作りたかったに過ぎないと思います。

だから僕は、良い仕事をする為であれば、文明の利器は惜しみなく使います。
その中で、どうしても手仕事ではないと不可能なものもあります。
手仕事とは、手作業ではなく手でしか成し得ない技術だと思っています。

現代を生きる職人として、『古典』と『新しい』を深く追及していくことが大切なのではないかといつも考えています。
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▲before(1ミリの段差を正確に削っています)
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▲after(軸先を取り付けた状態です)