2024年11月

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▲西国三十三所・納経軸

県内の弊店から比較的近いところからのご依頼です。
近いとはいえ、インスタグラムからDMでお問い合わせ頂きました。
ここ数年は、DMからのお問い合わせ(ご依頼)が大変多くなってきました。

ご依頼主は、お若い方なのにも関わらず神社仏閣などに造詣が深く、表装に関してもとても興味を持ってくださっております。
そのお陰で、私の表具に対する講釈もついつい出てしまい、少々長話の打ち合わせになりました。
掛軸の取り合わせは、モノトーンな印象の観音様に合わせて柔らかい色味の裂地でお仕立てします。
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▲四国八十八ヶ所・御影札(御本尊)

カラーの御影札は、御詠歌が印字された包み紙に一枚一枚丁寧に納められています。
この御影札を一枚一枚継ぎ合わせて、大きな一枚物にし、額装へとお仕立てします。
遠方からのご依頼でしたので、打ち合わせやお見積り等は、メールとお電話で進めてまいりました。
その際に役立ったのは、松月堂BLOGに投稿した記事(表装事例/WORKS)です。

WORKSは、延べ数百投稿しているので、手前味噌ながらとても参考になります。
表装のイメージが難しいと思われる方には、松月堂のBLOGインスタグラムを活用して頂けるとイメージが湧きやすいかもしれません。
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▲四国八十八ヶ所・納経軸

二度目のご依頼で、県内からお越しいただきました。

前回は、2017年に西国三十三所の掛軸表装をさせていただき大変良かったということで、今度はお遍路を結願(満願)され、7年振りに再度ご縁をいただきました。

表具師として、とても嬉しく有難いことです。

今回も前回同様に掛軸にお仕立ていたします。




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WASHIKAKUの下地は、杉材です
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全ての工程を一人の職人(表具師)が一点一点、丁寧に制作しています
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WASHIKAKUを制作するには、とても時間が掛かります
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下張りの和紙は、手漉きの本美濃紙を使用しています
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真綿の様に美しい、本美濃紙
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下地の仕上げは、念入りに
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少しずつ、WASHIKAKUに成ってきました
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WASHIKAKUの命は、隅に在り
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WASHIKAKUは、光と影を教えてくれます

◆WASHIKAKUの制作映像◆





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WASHIKAKU/Special order(別注サイズ)
◆WASHIKAKU・尺七寸五分
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オリジナルサイズのWASHIKAKUを手に取ってくださった方から、同じ仕様で別注サイズはできないかとご相談があり『一尺七寸五分(約53cm)』で制作いたしました。

WASHIKAKUは、下地から全て私が制作しているので、どんなサイズでも制作が可能です。
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中央がオリジナルサイズの『六寸』左が『五寸』なので、別注はかなり大きめです。
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◆WASHIKAKUの制作映像◆







染織家の伊村夕子さんの布を表具させていただきました

五箇山の悠久紙と綿を其々紡いだものを手織りで仕立てた布です
それ自体で申し分ない品に手を加えることの努めとして
私は、不自然ではない物語を紡ぐところから始めました

先ずは、『掛物(かけもの)』という言葉を敢えて用いました
掛軸や軸装と呼んでしまうと、少し硬い印象が出てしまい、
伊村さんの布の温かみや柔らかみが上手く引き出せないイメージがあったからです

では、俗に言う掛物と表具としての掛物の大きな差異は、『裏打ち』という施しの有無です
裏打ちの利点を挙げればきりがないのですが、端的に言うと美しさと保存です

裏打ち紙は、伊村さんの所望で布と同じく悠久紙を使用しました
楮で漉かれた極薄の悠久紙は、丈夫かつしなやかで、当然の如く布との相性も秀逸でした

接着剤は、古典的な正麩糊(小麦粉デンプン)のみですので馴染みも良いです
掛緒(かけお)と結びの紐は、伊村さんが制作した綿の組紐を採用し、
軸木は、悠久紙を張り重ねることで、布との繋がりを持たせています
収納箱も悠久紙を裏打ちしたものを張り、やはり繋がりを考えました

結びに、私の仕事は作品物を下支えすることに大義があり、表立つことは表具師の目指す道ではないと理解しています
しかしながら、そのお陰で伊村さんの表現に相まみえる次第となり、有意義な思考の時をいただき
心より感謝申し上げます

伊村夕子/白の掛物

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これは障子ではなく、屏風下地の製作途中で骨縛りという工程を終えたものです。
屏風に表具してしまうとこの部分は、朽ちるまで見ることはできません。
この景色、この構造美が私はとても好きです。




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精巧に作られた、とても美しい本金鍍金の透かし金軸です。

軸先は、桐箱を開けた瞬間に先ず目に入る部分で、掛軸(作品)の中身を知らずとも、なんとなくイメージすることができる重要な装飾です。
その期待感を楽しんでもらえるように、表具する際には意識しています。
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この襖縁を使用することを躊躇してしまうほどに美しい。

戦前の最も潤沢な時代の贅沢な建築でいて、引きの美学も兼ね備えており、材料・技術・仕立て・感性、どれをとっても非の打ち所がない完璧とも言える、非常に格式の高い座敷。
眺めているだけで様々な情報と教えをいただける、それほどの座敷は稀である。

その座敷に納めてあった襖の仕様・仕立ては、やはり確かなもので襖の修繕と張り替えの際に襖縁も同様に修繕と漆の塗り直しをしました。
漆の塗り直しは、わたなべ漆工房さんに依頼をし、惚れ惚れするほどの仕上がりを施していただき、現在私の工房は、漆特有の香りに包まれています。
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