2024年06月

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我が家の恒例行事として、氏神様へ。

本日で一年の半分が過ぎ、明日から年の瀬に向け下半期がスタートします。
商売人とって、折り返しは一つの節目の時期です。

皆が健康で、年を終えられることを願うばかりです。






戦前の趣ある旧家でお店を営む、Analogue Lifeの岩越さんから書『犇く』を額装にしたいとご相談頂いたのは、昨年のこと。
当初は、書に裏打ちをして額へ納めるという比較的易しい案件と理解しておりましたが、実物(書)を拝見し、また書を大事にしたいという想いを伺い、それでは書を長きに亘り愉しむこと・保存することは困難であることをお伝えしました。

beforeの写真では分からない部分、いわゆる書の内部・裏面の状況は決して良い状態ではなかったということです。岩越さんは、私の長々とした講釈にも熱心に耳を傾けてくださり、とても奥深い根幹を見つめる姿勢に表具師として悦ばしい思いでした。

実際に、修繕を開始してみると書の内部・裏面は、想像以上に劣悪な施しがしてあることが分かりました。
実は、このように一見では予測できない安易な事例は稀ではなくしばしばある為、修繕前にいかなる展開にも対応できるように、あらゆる準備をします。
そうすることで、どんな状況であっても平常でいられます。

今回は、この仕事を三部構成(修繕・下地製作・額装)の映像に納めておりますので、ご覧頂けましたら幸いです。
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▲before(修繕前の状態)F5E2EF7C-80D2-4A0A-A856-9BC7933A7563_1_201_a
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フレーム(額縁)は、岐阜県各務原市にあるtokotowaの小林さん(指物師)へお願いしました。
小林さんとは、初めてお会いした時に古くからの知り合い(友人)のような印象で、随分長話をしました。色々と話していくうちにいくつか面白い共通点があることも分かり、馬が合うはずです。
もちろん、仕事への向き合い方・技術やアイディアも豊富で尊敬できる素晴らしい方です。

フレームの材は、栗無垢の無塗装で製作していただきました。
栗は腐りにくく、耐水性もあり防腐処理をしなくても長年使用できる優れた木材ですので、今回の修繕と額装の趣旨にとても馴染みます。
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額装下地の裏面は、利休色の絓絹(しけぎぬ)を使用しました。
絓絹とは、絓糸を緯に織った平織りの絹織物を指します。絓糸は、繭から生糸を繰るときに、出てくる粗糸で玉節があり、太さが不ぞろいの糸のことでテクスチャーが私好みの材料です。

絓絹を表具で扱うということは、格式ある印であり、本来は然るべき高級な屏風や額装でしか見ることはありません。
但し、今回は伝統的な格式という趣向ではなく、書とフレームの相性と材料としての耐久性を重視した結果自然とそうなっていった感覚です。

私の目指す先は、常にシンプルであることに尽きます。
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【安田しげ子/犇く

寸法 -detail-
・幅:二尺三寸七分 × 高さ:二尺三寸四分/W:720㎜ × H:710㎜


素材-material-
・栗材(フレーム)/chestnut wood
・杉材(下地)/cedar wood
・和紙(純楮紙、他)/washi
・絓絹(裏面)/silk
・正麩糊(小麦粉澱粉)/japanese paste
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西国三十三所/掛軸表装
ご依頼主/兵庫県

クリック ⇒ 満願の納経軸/兵庫県のご依頼主
クリック ⇒ 陰影version
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西国三十三所/掛軸表装

ご依頼主/兵庫県

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既存の風帯も同様に修繕し、仕立て直ししました。
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★仮張り中の様子です




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子供たちが、幼児用として使用していた椅子を卒業する度に、一生モノとしてそれぞれプレゼントしたシューメーカーNO.49です。
中央の次男の椅子が加わり、『3chairs』の完成です。

左から長男⇒次男⇒長女で、手に入れた年代ごとに経年変化具合が異なり面白い。
座面の木目も椅子ごとに個性があり、味わい深い。

ちなみに木目のバランスと美しさは、長女の椅子が一番良く、父としては嬉しくホッとしている自分がいます。

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この度の修繕(修理修復)は、少し特殊な事例です。

掛軸の修繕の主は、本紙(絵画)部分でありその他の部分は、新しいものに取り換えることが一般的ですが、今回はご依頼主の要望に合わせて裂地(生地)部分も同様に修繕し、再表装しました。

表具とは、作品(本紙)を守ることが大前提ですので、既存の状態の甚だしい裂地を再使用することは保存の意味では、あまりお勧めはいたしかねます。

その為、気弱な裂地を少しでも体力のある裂地へ補強することを念頭に置きながら修繕を施しました。

思考に思考を重ねた末の仕事となったお陰で、自分自身の学びや再発見を得ることが出来ました。
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