2022年01月
WORKS vol.229(四国八十八ヶ所霊場・掛軸)
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先生してきました。

先日、愛知県名古屋市の中学校で半日ではありますが『ものづくり』をテーマに授業をしてきました。
全てが初めてのことで、不安とワクワクが入り混じる中での『挑戦』でした。
対象の生徒さんは、21名の中学一年生。
僕は、表具師という世間に馴染みのない仕事をしているので普通の職種と比べると、よりハードルは高くなります。製作を体験してもらいながら、表具の構造や機能をどうやったら子供たちに楽しく理解してもらえるのだろうか、資料作りも含めてとても悩みました。
表具師は、マイナーな仕事故に道具や材料・教材も揃っていないのが現実です。だから、無いものは自分で何とかする『工夫する』ことが常なのです。
その意味で、授業のテーマは『少ない情報の中から想像(創造)し、手を動かしてみる』にしました。
現代では、情報はどこにでもあり多様化しています。良い事かもしれませんが、本質を見極める力がないと薄っぺらな人になりがちです。何かを成し遂げていくためには、物事を深堀りしていくことが重要です。
そこで、表具の基礎である『和紙・糊・裏打ち・下地』を手を巧みに使いながら知ってもらうために、小さな障子の様なモノを一から製作してもらいました。プロダクトとしては、チープな見た目なので些か恐縮ではありましたが、構造を理解するための『ものづくり』に焦点を絞りました。
にも関わらず、生徒の皆さんは意欲的に色々考えながら、そして理解しながら丁寧に手を動かし製作してくれました。凄く嬉しい、こんな気持ちになれたのは初めてでした。
月並みな言葉になってしまいますが、生徒に教えるつもりが自分が教わる授業になっていました。
後日、21名の生徒さんからお礼のお手紙まで頂き、感無量です。
正に表具師冥利につきる体験となりました。
最後にこのような場を設けてくださった、中学校・運営をしてくださった方・そして生徒の皆さん、ありがとうございました。









※写真撮影時のみマスクを外しています
WORKS vol.228(西国三十三ヶ所霊場・掛軸)
WORKS vol.227(西国薬師四十九霊場・掛軸)
凪と晴天
VISONの夜
お伊勢さん
本金正絹裂地の掛軸(西国三十三ヶ所霊場)

松月堂で扱う最高級の表装裂地です。
表具師の私が厳選してセレクトした、この本金正絹裂地(西陣織)は、華やかで豪華な黄金色に見えますが、実際の裂地はとても品があり落ち着きのある表情をしています。












美しい意匠の本金鍍金の透かし金軸




光の当たり方によって、美しい光沢感が出るのが本金正絹裂地の特徴です。
















美しい意匠の本金鍍金の透かし金軸




光の当たり方によって、美しい光沢感が出るのが本金正絹裂地の特徴です。




表装形式:真の真(最も格式のある仏表装)
下から外柱・中柱・一文字廻し、そしてその間に2本の5厘筋、正確な直線が掛軸の美しさを引き立てています。
下から外柱・中柱・一文字廻し、そしてその間に2本の5厘筋、正確な直線が掛軸の美しさを引き立てています。


手縫いの風帯です。
一般的に仏表装の風帯裏は紺系の無地ですが、松月堂の風帯は贅沢に外廻しと同じ裂地を使用しています。
風帯の裏を見た時に、良い物だと何となく心に残ることが大事だと思っています。
また、裂地の柄も左右対称になる様に仕上げています。
見えない部分にこそ品質は現れます。


高野山奥の院・箱書き


加州塗り・高級二重箱


西国三十三ヶ所霊場/掛軸表装/本金特上仕立て
ご依頼主/山口県