カテゴリ:屏風(金屏風)・衝立 > 屏風(修繕)

DSC05029 (1)
修繕に一年掛かりました。

①検品・調査・現状の撮影
②材料・その他費用の細かな見積り
③修繕プランの設計
④下準備
⑤屏風の解体・本紙の解体(剥がし)
⑥本紙の修繕作業
⑦屏風下地の製作
⑧修繕した本紙×12枚の張り込み
⑨屏風の化粧・装飾
⑩検品・梱包

技術的な部分を確実に発揮させる為には平常心が必要です。
様々な工程に合わせて、湿度・温度・時間帯を緻密に計算しながら精神を整える作業は、とても大変でした。しかしながら、緊張感の続く過程も貴重な体験であると意識することで一つ一つ課題を着実に乗り越えていく事が出来ました。

普段の何気ない準備や職人作業の積み重ねが、こういった場面で力になる事が多くあります。
日々鍛錬です。

DSC06227
右隻/西王母
中国の神話上の女神。玉山または崑崙(こんろん)山に住む、人面・虎歯・豹尾の女神。
後に、神仙思想の発展とともに仙女化され、周の穆(ぼく)王が西に旅した時に瑶池で宴を開き漢の武帝に降臨して仙桃を与えた言われている。道教の成立後は東王父と一組の神格とされた。

DSC06241
左隻/東方朔
中国(前漢)の文人で平原厭次(山東省)の人。字 (あざな) は曼倩 (まんせい) 。
武帝に仕えたが、巧みなユーモアと奇行により道化的存在だったという。西王母の桃を盗んで食べ長寿を得たという伝説がある。
 
桃は、仙果といわれ不老長寿をもたらす。東方朔は、西王母という仙人の仙桃を盗んで食べ、仙術を得て、800歳の長寿を得たという。古来めでたい主題として、この屏風の様に西王母と対にして描かれることがしばしばある。

修繕作業② (1)
修繕風景




DSC05009 (1)
▲before
DSC06234 (1)0001
▲after




DSC05000 (1)
 ▲before
DSC06245 (1)0002
 ▲after




DSC05007
 ▲before
DSC06229
 ▲after




DSC05003
 ▲before
DSC06233
 ▲after




DSC06249
DSC06230




2-1
▲before
2-2
▲after




3-1
▲before
3-2
▲after




4-1
▲before
4-2
▲after




7-1
▲before
7-2
▲after




8-1
▲before
8-2
▲after




9-1
▲before
9-2
▲after




10-1
▲before
10-2
▲after




11-1
▲before
11-2
▲after




12-1
▲before
12-2
▲after




13-1
▲before
13-2
▲after




5-1
▲before
5-2
▲after




6-1
▲before
6-2
▲after




1-1
▲before
1-2
▲after




14-1
▲before
14-2
▲after




15-1
▲before
15-2
▲after




DSC09360
DSC09411
DSC09406
DSC09415
DSC09410
DSC09503
作品/八曲屏風
ご依頼主/石川県



韓国で仕立てられた屏風と8枚の絵。
ご依頼主のご要望は、本紙(絵画)8枚の修繕及び染み抜きです。

現状の屏風は仕立てが粗悪な為、再利用は不可。おそらく本紙8枚の染みの一番の原因は、屏風下地によるものかと推測されます。
また、然るべき表装がされていない表具(屏風)の剥し(解体)は、容易ではありません。ましてや彩色の染み抜きは、リスクを伴う為、修繕プランの組み立ては困難を要します。

もともと本紙には、補強と保存を兼ね数層の薄い和紙で裏を打つのですが、その仕事も具合が悪い為、古い裏打ち剥し(解体)も長時間かかりました。

ちょっと難しくなってしまいましたが、分かり易く言うと、一番表にくる本紙(絵画)以外を全て取り換えており、修繕前の本紙の環境と、修繕後の本紙の環境の差は、プレハブ小屋と数寄屋建築くらいの格差があるといことです。
本紙(作品)は住む環境によって見映えも保存も変わるのです。
伝えるって難しいですね、、、
DSC03892
▲修繕前
DSC05107
▲修繕後




DSC03890
▲修繕前
DSC05102
▲修繕後




DSC03898
▲染み抜き前
DSC04997
▲染み抜き後




DSC03899
▲染み抜き前
DSC04996
▲染み抜き後




DSC03900
▲染み抜き前
DSC04995
▲染み抜き後




DSC03901
▲染み抜き前
DSC04993
▲染み抜き後




DSC03903
▲染み抜き前
DSC04998
▲染み抜き後




DSC03904
▲染み抜き前
DSC04999
▲染み抜き後




DSC03902
▲修繕前(表具の化粧がうるさい印象があります)
DSC05095
▲修繕後(本紙に合わせた色味の取り合わせをしました)




DSC04826
天地の緞子縁取りの化粧前
DSC04979
天地の緞子縁取りの化粧後
DSC05096
本紙に細い筋廻しを施すことで、絵画を品よく引き立てる効果を出しています。
DSC05103
天地の緞子縁取り(太目部分)と本紙筋廻しの色味(金茶色)を合わせることによってトータルバランスを考えいています。
DSC05105
DSC05085
DSC05110
屏風の保管袋も用意しました。




DSC00807 (1)
▲修繕前
DSC01505 (1)
▲修繕後




DSC00826 (1)
▲修繕前
DSC01520 (1)
▲修繕後




DSC00809
▲修繕前
DSC01507
▲修繕後




DSC00810
▲修繕前
DSC01508
▲修繕後




DSC00812
▲修繕前
DSC01510
▲修繕後




DSC00814
▲修繕前
DSC01511
▲修繕後




DSC00815
▲修繕前
DSC01512
▲修繕後




DSC00828
▲修繕前
DSC01522
▲修繕後




DSC00829
▲修繕前
DSC01523
▲修繕後




DSC00831
▲修繕前




DSC00825
▲修繕前
DSC01519
▲修繕後




DSC00821
▲修繕前
DSC01517
▲修繕後




DSC00820
▲修繕前
DSC01516
▲修繕後




DSC00822
▲修繕前
DSC01518
▲修繕後




先日、修繕を終えた本金屏風(井芹蘇泉:作)をご覧になるため、ご依頼主(東京都:A様)とご親戚(滋賀県:B様2名)のお三人で松月堂へお越しいただきました。

所有者はA様ですが、ご依頼の屏風の経緯をご存知なのはB様で、戦時中を逃れた貴重な屏風であったそうで、とても興味深いお話を伺うことができました。

A様と屏風が、東京と滋賀と岐阜を引き合わせてくれたことに心から感謝いたします。
お暑い中、遠方よりお越しいただき、誠にありがとうございました。

この仕事をしているとよく考えることがあります、、
私が生まれる数十年、数百年前の作品と出会うまでには、語りつくせない奇跡的なドラマがいくつも起こっているのです。
それを想像し理解しようとする心が、職人作業をする上でとても大切なことではないのかと思います。

技術を鍛錬することも大事なことですが、職人としてご依頼主との出会いはそれ以上に得難い経験であると確信しています。
DSC02927
DSC02928
DSC02933
▲修繕前




DSC04517
DSC04073
DSC04082
DSC04112
DSC04121
DSC04126
▲修繕後




IMG_4986 (3)
※ご依頼主(東京都:A様)とご親戚(滋賀県:B様2名)のお三人




本紙(絵)のある屏風の修繕は、屏風そのもの(下地)よりも本紙の修繕を最優先します。
本紙を改善し、保存することが一番重要であるからです。
その為、屏風下地の状態が悪いものは、新しく仕立てます。
松月堂の屏風下地は、安易な下地でなはく保存を目的とした本格的な屏風下地です。
手間を掛け、全て手作業で一から製作していくのです。
DSC00313 (1)
▲修繕前
DSC00540 (1)
▲修繕後




DSC00319 (1)
▲修繕前
DSC00548 (1)
 ▲修繕後




DSC00316
 ▲修繕前
DSC00543
▲修繕後




DSC00318
▲修繕前
DSC00545
▲修繕後




DSC00326
▲修繕前
DSC00559
▲修繕後



 

修繕作業は、慣れることはありません。
決して同じ状態のご依頼品はないからです。
だから、毎日新鮮な気持ちを持つことを心掛けています。
DSC00787 (1)
▲修繕前
DSC01488 (1)
▲修繕後




DSC00793 (1)
▲修繕前(右側の本紙が完全に剥がれています)
DSC01492 (1)
▲修繕後




DSC00790
▲修繕前
DSC01490
▲修繕後




DSC00797
▲修繕前
DSC01497
▲修繕後




DSC00799
▲修繕前
DSC01498
▲修繕後




DSC00801
▲修繕前
DSC01500
▲修繕後




DSC00796
▲修繕前

DSC01496
▲修繕後




DSC00804
▲修繕前
DSC01502
▲修繕後




DSC00792
▲修繕前
DSC01491
▲修繕後




六曲屏風とは、六枚折りのこと
一双とは、半双が二つで1セットのこと
分かりましたか、、、? 詳しくは、Webで調べてみてくださいね。

今回ご紹介するのは、六曲屏風(一双)の修繕です。
本紙×12枚の修繕と合わせて、とても大掛かりなご依頼でした。

話し出すと私の熱意が止まりませんので、あえて詳細は説明いたしません・・・
2014_09250022
▲修繕前
2014_12220094
▲修繕後




2014_09250033
▲修繕前
2014_12220103
▲修繕後




2014_09250026
▲修繕前
2014_12220096
▲修繕後




2014_09250027
▲修繕前
2014_12220097
▲修繕後




2014_09250028
▲修繕前
2014_12220098
▲修繕後




2014_09250036
▲修繕前
2014_12220105
▲修繕後




2014_09250032
▲修繕前
2014_12220102
▲修繕後




↑このページのトップヘ