カテゴリ:掛軸(軸装) > 掛軸(修繕)
狩野山雪/猿猴図 前編(修繕編)
修繕前の状態です。
本記事では、修繕工程のごく一部をご紹介いたします。
修繕のテーマは、『あくまで現状維持』です。
元々は屏風だったものを本紙(作品)部分のみを丁寧に剥がした状態です。
作業台の上に保護紙を用意し、微量の水分を与えて本紙を伸ばし、古い和紙(裏打ち)を剥離させる準備をしています。
元々は屏風だったものを本紙(作品)部分のみを丁寧に剥がした状態です。
作業台の上に保護紙を用意し、微量の水分を与えて本紙を伸ばし、古い和紙(裏打ち)を剥離させる準備をしています。
※本紙は、裏返した状態です
数種類のピンセットや独自(自作)の道具を使い、古い和紙(裏打ち)を少しずつ剥がしていきます。
集中力・持久力を伴う繊細な作業が続きます
古い和紙(裏打ち)は、多いものだと4~5層あります
今回は、3層の古い和紙(裏打ち)を剥がしています。
どんどん本紙裏面が鮮明に見えてきました
最初と比べると本紙裏面の状態がよく分かります
ここまで剥がすのには、丸一日掛かることもしばしばあります
猿のお知りに△の落書きの様なものがあるのが分かりますか?
古い和紙(裏打ち)を剥がすと、この様なシークレットメッセージがあったりします。
僕が推察するには、作家(狩野山雪)の真筆である証拠ではないかと思います。
この仕事をしていると色んな時代にタイムスリップすることができ、誰も知り得なかった情報に出会うことができます。
古い和紙(裏打ち)を3層剥がし、新しい裏打ちをして仮張りから外した状態です。
ここまで仕上げるのに、約一ヶ月掛かります。修繕はとても手間と時間を必要とします。
これからこの作品を掛軸へと仕立てていきます。
数種類のピンセットや独自(自作)の道具を使い、古い和紙(裏打ち)を少しずつ剥がしていきます。
集中力・持久力を伴う繊細な作業が続きます
古い和紙(裏打ち)は、多いものだと4~5層あります
今回は、3層の古い和紙(裏打ち)を剥がしています。
どんどん本紙裏面が鮮明に見えてきました
最初と比べると本紙裏面の状態がよく分かります
ここまで剥がすのには、丸一日掛かることもしばしばあります
猿のお知りに△の落書きの様なものがあるのが分かりますか?
古い和紙(裏打ち)を剥がすと、この様なシークレットメッセージがあったりします。
僕が推察するには、作家(狩野山雪)の真筆である証拠ではないかと思います。
この仕事をしていると色んな時代にタイムスリップすることができ、誰も知り得なかった情報に出会うことができます。
古い和紙(裏打ち)を3層剥がし、新しい裏打ちをして仮張りから外した状態です。
ここまで仕上げるのに、約一ヶ月掛かります。修繕はとても手間と時間を必要とします。
これからこの作品を掛軸へと仕立てていきます。
勝海舟 掛軸修繕
染み抜き Vol.34(竹内栖鳳)
染み抜き Vol.33(高浜虚子)
観世音菩薩 掛軸修繕
染み抜き Vol.32(堂本印象)
花に蜻蛉(熊谷守一)
染み抜き Vol.31(森村宜稲)
染み抜き Vol.27(出口王仁三郎)
初釜(仙厓画賛)
染み抜き Vol.26
染み抜き Vol.25(出口王仁三郎)
折れ伏せ作業
掛軸の修繕で行う折れ伏せ(処置)作業の風景です。
横折れや破れの甚だしい本紙(作品)を裏面から和紙で補強しているのです。折れた箇所全てに施すため、膨大な時間を要しますが、これを行うことにより損傷部分は改善され、作品を守ると同時に折れ目もなくなることで、作品本来の美しさを取り戻すことができます。
Instagramにて動画公開中!
↓ ↓
https://www.instagram.com/p/BxzvjoCDBms/
神農様の掛軸
千宗旦の消息
リノベーションと修繕
細部こそ拘る
鷹の刺繍
出口すみ子の書
六字名号 掛軸修繕
猛虎愛児
染み抜き Vol.24(出口王仁三郎)
和紙の付け風帯
虎之図
染み抜き Vol.23(出口王仁三郎)
染み抜き作業の結果は、ご依頼主のご希望を下回ることもございます。
何故なら、人間のご病気と同じで決して同じ染みは存在しないので、結果にはそれぞれ誤差が生じるからです。
『いつ・どこで・どのような』条件や環境により染みになったかを想像し、見極めなければなりません。
そして、作品を守ることが最優先ですので、無理な染み抜きも控える必要がございます。
その意味で、結果が下回ることは、作品の現状維持としては良好なことであるとご理解いただけると幸いです。
※因みに今回ご依頼のお軸は、最良の染み抜き結果を得ております
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作家:出口王仁三郎/達磨
ご依頼主:長野県
圧巻の不動明王
タイトルの重要性
染み抜き Vol.22(大塚洞外)
千利休の茶掛け
掛軸の修繕は、本紙の修理修復と共に表具(裂地や軸先)も新しく取り替えるのが基本です。
もちろん、本紙の時代背景や風合いによっては、真新しい裂地ではなく古びた風合いの裂地を使用します。
ですが、例外として表具を再利用したり、ご依頼主所有の裂地や軸先を使用することも昔からあるのです。
これは、表具を嗜まれるマニアックな掛軸の愉しみ方なのです。
表装裂地には、稀に名物裂と言われる裂地自体に価値があるものもあります。名物裂でなくても僕が貴重と思った裂地の場合も再利用することもあります。
しかしながら、古く朽ちている裂地を再利用するには、時に本紙以上に技術を求められることも少なくないので、最善の準備が必要です。
今回のご依頼は特殊で、一文字と風帯は再利用し、中廻しと天地はご依頼主所有の裂地で仕立て直しをしています。※ちなみに軸先もご依頼主所有のものです
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ご依頼主のご要望により、一文字は既存の表装裂地を再利用しています。
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ご依頼主のご要望により、風袋は既存の表装裂地を再利用しています。
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ご依頼主所有の象牙の軸先です
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ご依頼主のご要望により、風袋は既存の表装裂地を再利用しています。
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作家:千利休/消息
ご依頼主:岐阜県
もちろん、本紙の時代背景や風合いによっては、真新しい裂地ではなく古びた風合いの裂地を使用します。
ですが、例外として表具を再利用したり、ご依頼主所有の裂地や軸先を使用することも昔からあるのです。
これは、表具を嗜まれるマニアックな掛軸の愉しみ方なのです。
表装裂地には、稀に名物裂と言われる裂地自体に価値があるものもあります。名物裂でなくても僕が貴重と思った裂地の場合も再利用することもあります。
しかしながら、古く朽ちている裂地を再利用するには、時に本紙以上に技術を求められることも少なくないので、最善の準備が必要です。
今回のご依頼は特殊で、一文字と風帯は再利用し、中廻しと天地はご依頼主所有の裂地で仕立て直しをしています。※ちなみに軸先もご依頼主所有のものです
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ご依頼主のご要望により、一文字は既存の表装裂地を再利用しています。
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ご依頼主のご要望により、風袋は既存の表装裂地を再利用しています。
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ご依頼主所有の象牙の軸先です
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ご依頼主のご要望により、風袋は既存の表装裂地を再利用しています。
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作家:千利休/消息
ご依頼主:岐阜県
染み抜き Vol.20(出口王仁三郎)
今回のご依頼品には、もともと掛軸収納箱(桐箱)があったのですが、その桐箱には無数のカビ染みが斑点状に帯びていました。掛軸と桐箱のいずれから発生したのかは、定かではありませんが、保存・保管の状況が良好ではなかったことは伺えます。
よって、修繕(染み抜き)後の掛軸を収める桐箱は、今後のカビ染みの発生を防ぐことも考慮し、新調することをお勧めしました。
修繕するという行為は、ご依頼品(掛軸)単体だけではなく、それを取り巻く環境全てを整えることがとても大切です。
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表具のトータルバランスから、真新しい煌びやかな本金鍍金金軸ではなく、古びた風合いのある古代色金軸を選びました。
作家:出口王仁三郎/観音様
ご依頼主:長野県
よって、修繕(染み抜き)後の掛軸を収める桐箱は、今後のカビ染みの発生を防ぐことも考慮し、新調することをお勧めしました。
修繕するという行為は、ご依頼品(掛軸)単体だけではなく、それを取り巻く環境全てを整えることがとても大切です。
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表具のトータルバランスから、真新しい煌びやかな本金鍍金金軸ではなく、古びた風合いのある古代色金軸を選びました。
作家:出口王仁三郎/観音様
ご依頼主:長野県
二猿之図
before→afterを見て気づく方はいらっしゃると思います。
「表具の部分は、綺麗にはなっているけど、本紙部分は...さほど...」
そうです。でもこれでいいんです!修繕に一番求められるのは、見た目ではなく中身だからです。
この考え方は、修繕の世界では、最も優先されることで、必要以上に真新しくすることは、また別の観点の話です。
その意味で、中身(本来部分)の修繕...ううん、もっと分かり易く言うと『改善』は施されていますのでご安心ください。
現状維持ありきの修繕なのです。
ですので、見た目の改善を望む場合は、先ずは、慎重に修繕プランを説明いたします
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「表具の部分は、綺麗にはなっているけど、本紙部分は...さほど...」
そうです。でもこれでいいんです!修繕に一番求められるのは、見た目ではなく中身だからです。
この考え方は、修繕の世界では、最も優先されることで、必要以上に真新しくすることは、また別の観点の話です。
その意味で、中身(本来部分)の修繕...ううん、もっと分かり易く言うと『改善』は施されていますのでご安心ください。
現状維持ありきの修繕なのです。
ですので、見た目の改善を望む場合は、先ずは、慎重に修繕プランを説明いたします
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染み抜き Vol.19
仙厓さんが描く蛙
千宗旦の消息
消息とは手紙のことです。尺牘(せきとく)とも言い、特に茶席では茶人の消息を珍重します。
ご依頼主からは、既存の雰囲気を一変させ、減り張りのある表具にしてほしいというオーダーです。
ボンヤリした茶系のイメージから先ずは、中廻しを紺系にして本紙(消息)へ自然に目が行くようにしています。天地は本紙の色味と合わせ、風帯は台張り(本紙廻りの白系の和紙部分)の色味と合わせ、軸先を黒系にすることで、表具にリズム感を持たせました。
果たしてこれが正解なのか、、、いつも自問自答していますが、ご依頼主のご要望と笑顔が僕の原動力になっています。
▲before
▲after
▲before
▲after
※一文字は、ご依頼主の意向で省いています(より簡素に仕立てる茶の湯の精神ですね)
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ご依頼主からは、既存の雰囲気を一変させ、減り張りのある表具にしてほしいというオーダーです。
ボンヤリした茶系のイメージから先ずは、中廻しを紺系にして本紙(消息)へ自然に目が行くようにしています。天地は本紙の色味と合わせ、風帯は台張り(本紙廻りの白系の和紙部分)の色味と合わせ、軸先を黒系にすることで、表具にリズム感を持たせました。
果たしてこれが正解なのか、、、いつも自問自答していますが、ご依頼主のご要望と笑顔が僕の原動力になっています。
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※一文字は、ご依頼主の意向で省いています(より簡素に仕立てる茶の湯の精神ですね)
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染み抜き Vol.18
染み抜き Vol.17
裏打ち剥がし
五つの寿
ひな軸の修繕
十六善神・掛軸 修繕
釈迦三尊・掛軸 修繕
長期の経年劣化、絵の剥落、多数の横折れ、シワ、気泡、破れ、剥がれ、欠損、etc…
これを一つ一つ確かめ・理解する作業から修繕(修理修復)は始まります。
先ずは、掛軸と知人になり、そして友達になり、家族になるような心情で、作業は進んでいきます。
修繕が完了した掛軸をご依頼主へお引き渡しする際は、ご満足いただけるか毎度緊張しますが、それと同時にさみしい気持ちにもなります。
娘を嫁にやるような気持ちなのでしょうか、、(未だ経験はありませんが、、)
▲修繕前
▲修繕後
▲修繕前
▲修繕後
▲修繕前
▲修繕後
▲修繕前
▲修繕後
▲修繕前
▲修繕後
▲修繕前
▲修繕後
▲修繕前
▲修繕後
▲修繕前
▲修繕後
状態が悪かった掛軸を修繕した際には、太巻き桐箱で保管することをおすすめします。
大きな円周で掛軸を巻くことで本紙を痛めず、守ることができます。
これを一つ一つ確かめ・理解する作業から修繕(修理修復)は始まります。
先ずは、掛軸と知人になり、そして友達になり、家族になるような心情で、作業は進んでいきます。
修繕が完了した掛軸をご依頼主へお引き渡しする際は、ご満足いただけるか毎度緊張しますが、それと同時にさみしい気持ちにもなります。
娘を嫁にやるような気持ちなのでしょうか、、(未だ経験はありませんが、、)
▲修繕前
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状態が悪かった掛軸を修繕した際には、太巻き桐箱で保管することをおすすめします。
大きな円周で掛軸を巻くことで本紙を痛めず、守ることができます。
掛軸の裏面の修繕も
大徳寺第181世 江雪宗立
修繕Collection Vol.4
修繕Collection Vol.3
千宗旦の父は千少庵
昨年7月19日にblogで千少庵をご紹介しましたが、
今回は、少庵の子である千宗旦、つまり千利休の孫です。
千宗旦は、千家三代目で宗旦流(三千家)の祖とされる茶人。
今回のご依頼品は、掛軸から本紙部分だけ切り取られた状態。
長期の経年劣化が見受けられましたが、適切な修繕処置を行い、
次の時代へ架け橋をすることができました。
▲修繕前
▲修繕後
軸先は宗丹軸。