カテゴリ: ◆表装ラボ◆
太鼓襖
露糸
月日荘と13組の作家と
もふもふ
routine
足元の印象
繕う
めぐり逢い
思い掛けない出来事が起きました。
先日お越しいただいたご依頼主が、以前postした記事をご覧になり僕が所有しているものと同じ『京の座敷』を持参してくださいました。
なんでも、30年ほど前にご自宅を建てる際の参考資料として入手され、僕のpostでその時の事を思い出し、ご縁を感じてくださったそうです。
この書物は贅沢な装丁を裏切らない、とても素晴らしい内容で当時の販売価格は48,000円と所有する人を選ぶ、強気な想いすら感じさせられます。
あまり非科学的なことは好きではありませんが、
ご依頼主は関西圏のお方で、生まれも世代も全く異なる二人を引き寄せる不思議な力を持つこの書物。作者は当時こんな奇跡を予想していただろうか。
慌てて二冊並べたところを撮らせて頂いたので、あまり良い写真ではありませんが僕にとっては、かけがえのない大切な思い出となりました。
簑掛け
雨上がりにて
表装形式 行の行
調査と下準備
工房にて
掛軸の部分修理
創作意欲
一本の竹からつくる
Japanese cypress
手に焼き付ける
本美濃紙
五厘の筋
加州塗り・黒艶有り
組む
目立たない良さ
リスペクト
豪華本金裂地
裏打ち剥がし
仕上げの一コマ
休日の合間に
裂地の準備
ピンセットと指先
屏風金具
風帯の中身
検品と調査
加州塗り艶消し
鳥の子和紙
整える
般若心経
手漉きの和紙蝶番
刷毛
塵落としの引手
蛇の抜け殻
『 ん 』です。
脱皮したての蛇の抜け殻を見つけると運気(金運・子孫繁栄)が上がると言われています。
蛇は、身の安全を守るために目立たないところで脱皮するから何処で脱皮するか判らない為、とても貴重なことなのです。
ご依頼主は、その貴重な蛇の抜け殻を玄関で発見された強運の持ち主です。
基本的に額装にする場合は『 寿 』や『 一本筋 』にすることがほとんどですが、ご依頼主夫婦にとってひらがなの『 ん 』にとても縁があるということから、『 ん 』+『 丸⇒円⇒縁 』と意味を繋げて表装させていただきました。
※丸には魔除けの意味があるという説もあります
表装前の状態
※後ほど保護用としてアクリルガラスを嵌め込んでいます
蛇の抜け殻/額表装
ご依頼主/岐阜県
御所車
桐箱の箱書きを生かす
掛軸にとって桐箱(掛軸収納箱)は、お家の様な存在で、数百年前から掛軸と共存しています。
そして掛軸と同様に状態は悪くなっていきます。悪くなるを分かり易く言うと機能性が著しく低下するということです。
所謂、桐箱として一番大事な調湿性能が落ちる為、掛軸を守ってくれなくなるのです。これでは、修繕した掛軸を箱に収めても意味がありません。
しかしながら、古い桐箱には箱書き(題名)が付き物です。贔屓にさせて頂いている桐箱職人さんは、その箱書きを生かし、新しい桐箱の上蓋部分に寸分の狂いもなく嵌め込む技術を持っています。
密閉性の高い印籠タイプの桐箱は、掛軸を保存する上で最適なのです。
▲before
▲after
▲before
▲after
▲before
▲after
馬毛の裏漉し器
WORKS Vol.136(巻子表装)
千鳥張り
仕事納め
2019年最後のお客様は、静岡県からご来店のご夫婦。
2020年からご朱印軸(納経軸)で百観音霊場を始められるそうで、その前に掛軸を仕立てる職人さんに会って、話して、心の準備をしたかったとご主人。
色々とお話をしていくと、ご主人は何をするにも拘るお方で大切なご朱印軸を誰に預けるか決めてからスタートしたいと仰っていました。
ご主人は、「あなたに会えて巡礼へのモチベーションがグッと上がりました」「これで安心して巡礼が始められます」
仕事納めの日にとても嬉しいお言葉をいただき、心はホクホクです。
表具師としてこんなに有難い締めくくりはございません。
次回お会いできることを楽しみにしています。
満願目指して、どうぞお気を付けていってらっしゃいませ。
手仕事の在り方
この作業は、掛軸の軸先を取り付けるために軸棒を削っている様子です。
昔(20年位前まで)は、機械ではなくノコギリ・出刃包丁をメインに数種類の道具で手作業のみで行っていました。
ちなみに僕は根っからの職人気質ですが、『手作業のみで』とか『伝統技法』に拘りはありません。それよりもっと先にある『良い物』ができるのであれば、手段は択ばないと思いながら日々仕事をしています。
表具師の様に伝統ある職というものは、『旨味のある歌い文句』に流されがちですが、その技法を発案した当時の職人は、おそらく伝統技法になると思っていたわけではなく、ただ『良い物』を作りたかったに過ぎないと思います。
だから僕は、良い仕事をする為であれば、文明の利器は惜しみなく使います。
その中で、どうしても手仕事ではないと不可能なものもあります。
手仕事とは、手作業ではなく手でしか成し得ない技術だと思っています。
現代を生きる職人として、『古典』と『新しい』を深く追及していくことが大切なのではないかといつも考えています。
▲before(1ミリの段差を正確に削っています)
▲after(軸先を取り付けた状態です)
表装予約、好評です
お店のインターホンが鳴り、窓越しに車のナンバーを見ると『つくばナンバー』。
ん、、、えっ!茨城県!?
お出迎えしてびっくり、茨城県から突然のご来店で、「松月堂のホームページを見て気になっていたので寄ってみました」とご主人。
しかも、松月堂トップページに掲載の『事前のご来店予約』をご存じにも関わらず、アポなしでのご来店でした。ご主人は、「ふらっと寄って居たらご縁」と何とも粋なことを仰りました。
これまでにいくつもの霊場を巡られており、これから西国三十三ヶ所霊場を納経軸で始められるそうで、掛軸表装のことでご相談いただきました。また、関東八十八ヶ所霊場を満願されており、表装(仮)予約のご案内をすると早速、ご予約をいただきました。次回、ご来店の際に満願の納経軸(関東八十八ヶ所霊場)を持参されるとのことです。
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メールかお電話でご連絡頂いた日付を仮予約とし、順番が来たら優先的に表装作業を進めていきます。
本当に簡単ですので、お気軽にお問い合わせくださいね。