カテゴリ: 表装ラボ

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昔ながらの日本建築では、しばしばお目に掛かることのあった衝立のご依頼です。衝立は、美術要素と共に目隠しや間仕切りとして数百年前から重宝されてきました。松月堂でも年に数点しかお仕立てしなくなりましたが、こうして見ると普通に格好いいフォルムだなと見とれてしまいます。ちなみにお寺様では今でもよく見かけますね。

これを現代の生活スタイルに上手く生かせそうだなと少し思っています。




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元々は、狭い茶室の空間で着物や帯が土壁に当たった際に、衣服・土壁を傷つけないようにするために設えたことがきっかけで、いつしか然るべき和室には、腰張りをすることがステータスになっていったように思います。
今では、和室のデザインとしても一目を置かれています。和室に腰張りがしてあると単純に格好良いと見とれてしまいます。

ちなみに腰張りは、表具師にしか出来ない仕事だと自負しています。
和紙、刷毛、ヘラと材料・道具はシンプルですが、土壁の具合と季節に合わせ、糊の濃度を調節しなければなりません。もちろん、張る和紙の寸法にも黄金比があり、それをもとに和室に適切な寸法で和紙を裁断し正確に張っていくのです。

『貼る』ではなく『張る』なのです。これは表具師特有の感覚です。




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掛軸の修繕で行う折れ伏せ(処置)作業の風景です。
横折れや破れの甚だしい本紙(作品)を裏面から和紙で補強しているのです。折れた箇所全てに施すため、膨大な時間を要しますが、これを行うことにより損傷部分は改善され、作品を守ると同時に折れ目もなくなることで、作品本来の美しさを取り戻すことができます。
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表具の見栄え・重要部に不可欠な技術と共にディテールを拘ってしまうのが、職人の性。
この写真は、掛軸最上部にある軸紐の仕立て部分です。
この部分は、桐箱の蓋を開けた際に見える部分であり、軸先と同じく掛軸の第一印象を決める大切なところです。掛軸を嗜む方であれば、ここの印象で掛軸の良し悪し(品質)を伺うことができてしまうのです。
だから僕にとっては、決して気を抜くことのできない大事な仕事なのです。
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▲before
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▲after
上下の写真を見比べると、afterの方は軸紐に解れ止めとして金砂子和紙で化粧しています。
もちろん、軸紐も上質なものしか使用しません。その為、手触りもしなやかで丈夫です。




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掛軸の最下部にある軸棒の中身です。
軸棒は、掛軸本体のバランスを整え、美しい見栄えの肝となる大事な役割を果たしています。
この写真は、修繕依頼の古い掛軸を解体した際に発見したものです。
とても残念な現状です。
材料費を削減する為、短い軸棒(材料)をホッチキスで安易に継いでいるのです。
※本来は、歪みのない一本物を使用します

実は、こういったことは稀なことではなく、掛軸や額装のあらゆる箇所で見えない部分を安易な仕事でごまかしていることは多々あるのです。
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見えない部分こそ、丁寧な仕事をすることは、評価されることではなく当たり前のことだと僕は思っています。




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これは、掛軸表装の切り継ぎ工程中の一コマです。
現在ご依頼中の掛軸で、3年前にもお世話になったご依頼主所有のものです。前回はメールとお電話のやり取りのみだったのですが、今回はご依頼品の進行状況の確認と、工房見学と僕に会いたいというリクエストをいただきました。なんとも有難く、嬉しいお願いです。

ご依頼主と直接お会いして、表装のご説明をさせていただきながら工房をご紹介できることは、職人としてこの上ない喜びなのです。

当日は、興味深いお話を伺うこともでき話に花が咲きすぎて、まだまだお話がしたいくらい楽しい時間でした。はるばる岐阜へお越しになられた理由も「松月堂さんを訪ねるためだけだよ」と仰っていただき、感無量です。
埼玉に来ることがあるなら、どこでも案内してくださるそうです。

僕は、なんて幸せ者なのだ。




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▲before

掛軸の上部裏面には、内容が一目で分かるように作家名やタイトルが書で記載されていることがあります。

この部分は、作品の次に大切な部分であり、当時の重要な情報源になり得ることもあるので、修繕の際には本紙(作品)同様の処置を施し、元の位置に張り込みます。

当たり前にやっていることなのですが、ご依頼主にはとても喜んでいただけます。

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▲after




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総裏をした掛軸を仮張りし、乾燥工程を経て最終の仕上げに入る前に掛軸の裏面へ『裏擦り』作業を施します。
この工程を入れることで、掛軸はより『しなやか』になり巻き解きのし易い掛軸になります。

工房に響き渡る数珠(裏擦り用)の音は、僕の心を良い意味で『無』にしてくれます。
この音のお陰で掛軸を仕上げる前の精神状態は、いつも良好です。

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▲before

巡礼のご依頼主からしばしば『墨・朱肉の除去』のお問合わせがあります。
墨や朱肉の粗相は、たまにあることなので除去の依頼は絶えませんが、僕個人としては旅(巡礼)の思い出として残すのも有りだと思っています。※実際僕の四国八十八ヶ所の掛軸には、旅の思い出箇所があります

上記の写真は、お顔の右上に朱肉・右に飛び散った墨、しかも後光の上に付いている超難題です、、、
それでも、何とか除去することができます。
どうしても気になる方はご相談ください。
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▲after




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松月堂で扱う桐箱は、なるべく柾目の美しいものを採用しています。また、その美しさは見た目だけでなく特徴として密閉性や強度も兼ね備えています。
寸分の狂いもない桐箱は、新しいうちは少々開け閉めが硬く感じるかも知れませんが、精度が高い証拠です。 使用していくうちに馴染み、所有者にとって扱い易くなっていきますので、安心してください。
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上蓋と底蓋の境が分からないくらい精巧です。
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非常に密閉性の高い、印籠蓋です。




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僕(四代目)の手です。
不細工な手ですが、365日ケアを欠かさない大切な手です。
この手で、表装・修繕を行うのです。
繊細な作業から力強い作業まで、表具師の仕事は多岐にわたります。

特に意識しているのは、指先と指の腹で、常に深爪にしています。
繊細な作業をする職人さんで、爪が伸びていたら、、どんな素晴らしい持論を語られても僕なら信用しません、、、
大切(デリケートな)なものを扱う手は、清潔かつ敏感でなければならないからです。
アクセサリーをしている職人さんなんて問題外です。




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僕が、散々申し上げてきた『杉材組子下地』です。
屏風や額・襖に使用する下地ですが、現在では殆どがベニヤ板やボール下地(厚紙)で、発泡スチロール素材もあります。
予算や手間を省くには仕方ないことかもしれませんが、松月堂の下地は一貫して『(白)杉材組子下地』を使用しています。しかも、指物屋さんには頼まず僕が全て製作します。だから、どんな寸法・形でも自由自在です。もちろん、予算に合わせて框を檜材にしたり、組子の数や細かな仕様をより高価な仕立てにすることもあります。

この組子下地が、書・絵画の保存に大きく関わっているのです。
表具の見栄えの深部には、、おっと、話が止まりませんのでこの辺で。
続きは、またいつか。
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僕は、表具のあらゆる下準備の作業が好きだ。
例えるなら、釣行前日の釣り師が道具や仕掛けを準備しながら、「明日はどうやって魚を釣ってやろうか」と考えている感覚、、

丹念に漉した糊を掬う瞬間は、ちょっとした至福の時間です。
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巻子(巻物)の表紙に使用する、金砂子紙を製作します。
手間も時間も掛かり面倒なので、近年では加工された既製品を使用する職人さんが殆どですが、何でも拘ることがモットーの僕は、自分オリジナルが好きです!
この作業は繊細な極薄の金箔を扱うため、呼吸を整えるトレーニングにもなります。
もちろん、使用する金箔は純金(本金)なので、輝きは永遠です。




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この風鎮は、12年以上前に仕入れたものです。
私(四代目)が、四国八十八ヶ所を満願した12年前から風鎮の取り扱いを一切辞めました。
表装を知れば知るほど、掛軸を仕立てれば仕立てるほど、風鎮は不必要なものだと知りました。

はっきり言います、、『 風鎮は、掛軸本来の機能美を著しく損ねています 』

皆さん、重要文化財として美術館に展示されている掛軸に風鎮が掛かっているものを見たことがありますか?
茶室に掲げられている掛軸に風鎮が掛かっているものを見たことがありますか?
そうです、ないのです。
なぜなら不必要だからです、、、


①掛軸の美(見栄え)を考えた時、然るべき表具師は、風鎮のことを考えて表装しません

掛軸は、本紙(作品)を主軸に、周りの表具(裂地)・軸先・軸紐の取り合わせをします。従って、トータルバランスを考えられた掛軸に風鎮を掛けることは、アンバランスを起こすことになるのです。掛軸の格好良さが半減してしまいます。


②掛軸(表具)は、鑑賞品であると共に保存のことも考えられているのです

風鎮を持ってみれば分かりますが、重いです。こんな重いものが軸先部分にずっと掛かっているのは、問題(異常)です。常に負担を掛けていることになります。よって掛軸の劣化・破損の要因となることは明確です。今すぐにでも辞めていただきたいです。保存技術を考慮して仕立ててある掛軸へは悪影響しかありません。


③よくある風鎮の安易な知識とコマーシャル

『風鎮を掛けると掛軸が安定するよ』
風鎮を掛けないと安定しない掛軸は、良い掛軸ではありません。
本当に良い掛軸は、風鎮の重さを利用しなくても、しっかり安定して掛かります。

『風鎮を掛けることを前提に、掛軸を短く仕立てます』
本末転倒なことです。風鎮の為に表具のバランスを崩すことは、表具師としてお勧めできません。

『特典で風鎮をプレゼントします』
掛軸への思いやりが欠けています、、悲しいことです、、、




少々、厳しい内容になってしまいましたが、
掛軸を思うが故、ということでご理解いただければ幸いです。




字の如く、喰い裂いたような和紙の裁ち方のことです。
刃物で綺麗な断面で裁つのではなく、あえて和紙の繊維(毛羽立ち)を利用する手法が表具には適所にあります。
これも日本の手漉き和紙だからこそできる優れた機能なのです。
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屏風や扁額(和額)などの大きなご依頼品には、梱包セットをお客様のご自宅までご用意(お届け)します。
梱包の手順も全て分かり易くご説明いたしますのでご安心ください。 
もちろん、お見積りは無料です!お見積り内容にご納得いただけない場合は、丁寧に梱包し直しお返しいたします。

※状態が悪いと思われる作品は無理をしないで、先ずはお気軽にお問い合わせくださいね。

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