カテゴリ: ◆表装ラボ◆

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金屏風に使用する縁です。

如何なる作業の時も材料や部品は、綺麗に並べないと気が済みません。



 

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仕立てには幾つもの工程があります。
そしてその工程作業には職人独自の呼び名が存在します。

僕はその呼び名の意味を自分なりに解釈しながら作業しています。




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焼き物の軸先。

作家による名作でもなければ、高価な軸先でもありません。
いわゆる普及品ですが、取り合わせ・使い方によって格好良く魅せることはできるものです。

ここ数年、用の美という言葉に惹かれている自分がいます。




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御朱印帳を解体し、屏風や額装・掛軸へ仕立てる作業は決して安易な気持ちでは行えません。

在るべき姿を違う形へと変化させることには責任を持たなければならないと思っています。




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軸装に使用する裂地(西陣織)で、本金正絹という非常に贅沢な品です。
本金の輝きは正に黄金色、上品かつ重厚なオーラを放っています。

出来上がりが楽しみです。
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仕事始めは、裏打ち剥がしから。
心身共にリフレッシュした状態ゆえなのか作業が捗ります。




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決して、製品としてのクオリティを大きく左右する部分では無いかもしれませんが、細部まで丁寧に仕上げることが僕の拘りです・・・いや、性分ですかね。
納得いくまでとことんやらないと気が済まないんです。
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八双金具の取り付け




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風袋の取り付け




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明日からの作業に向けて表装裂地の選定をしました。
さぁ、まもなく師走、気合入れます。




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掛軸や額装・屏風に使用する表装裂地の防縮加工の一コマです。

裂地は全て異なる特徴があるので、一点一点確かめながら作業していきます。 
また、ただ作業するのではなく仕上がった際の裂地の表情をイメージすることで、より質の高い仕事になる様な気がします。



 

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修繕作業の重要な工程である裏打ち剥がし。

3〜5層の異なる和紙を一枚一枚剥がし、本紙(作品)のみにすることが目的です。

裏打ちを剥がす道具のメインとなるのがピンセットと指先です。
それぞれの長所を活かしながら、適材適所で道具を使い分け少しずつ丁寧に和紙を剥がしていきます。

根気のいるこの作業で大事なのは、リラックスすることです。




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屏風に品格を与えてくれる装飾品。

無くてもいいものかもしれないけれど、これを取り付ける行為は、
ちょっといい時計を付けて出かける感じに似ている。




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掛軸にしつらえる風帯の製作準備をしています。

風帯は金襴を使用することが多く煌びやかな印象がありますが、その内側なのでイメージが湧かないかと思われます。
薄っすら白く見えるのは、和紙で裏打ちを施している証拠です。

風帯は、折り目を付け畳んで収納するので、柔らかくふっくら仕上げることが大切です。




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修繕する掛軸は先ず、検品・調査・写真撮影を行います。
その後、3〜5種類の刷毛(道具)を使い分けながら、本紙(作品)に付着している埃や塵・汚れを優しく丁寧に取り払っていきます。

気を抜くと本紙を傷つけてしまうので、息を殺して刷毛を指先のような感覚にし神経を研ぎ澄まします。 
この時に検品・調査の質が問われます。入念な準備をしておけば、安心に繋がるのです。




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六曲屏風の屏風縁の下準備中です。
艶消しのマットな質感がカッコイイ。




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うん、どれも僕の好みの色味です。
これを屏風に張り込みます。 




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縮み工程を経た表装裂地にアイロン掛けしています。
ただシワを伸ばすだけの単純作業ではありません。 

表装裂地は、幾何学模様が細かく織られており、縮みを施した際に若干の歪みが出ます。
それをスチーム機能を上手く使いながら、柄をミリ単位で補正していくのです。
そうしてようやく裏打ちの準備が整います。




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日本人であるとか、宗派とか、それだけに捉われることのないくらい、大いなる存在のような気がします。



 

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松月堂では、二種の純楮手漉き和紙を裏打ちし、屏風の蝶番として使用しています。
手を掛けて丁寧に仕立てた和紙蝶番は、50年経っても良好な状態を保ちます。
こうした見えない部分の集約があって、はじめて良い屏風と言えるのです。
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表具師は、用途に合わせて数十種類の刷毛を用います。
水刷毛・撫で刷毛・打ち刷毛・付廻し刷毛、、、多種多様な使い方があります。
そのため、刷毛の特徴を熟知することが重要です。
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数多ある引手の中でもこれほどに洗練されていて機能的で、デザイン性に優れているものはないと思っています。
そして単純に格好良いと思える所が重要だったりする。

このデザイン・アイディアが数百年前からあるのだから先人には敵わない。




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『 ん 』です。

脱皮したての蛇の抜け殻を見つけると運気(金運・子孫繁栄)が上がると言われています。
蛇は、身の安全を守るために目立たないところで脱皮するから何処で脱皮するか判らない為、とても貴重なことなのです。
ご依頼主は、その貴重な蛇の抜け殻を玄関で発見された強運の持ち主です。

基本的に額装にする場合は『 寿 』や『 一本筋 』にすることがほとんどですが、ご依頼主夫婦にとってひらがなの『 ん 』にとても縁があるということから、『 ん 』+『 縁⇒円⇒丸 』と意味を繋げて表装させていただきました。
※丸には魔除けの意味があるという説もあります
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表装前の状態
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※後ほど保護用としてアクリルガラスを嵌め込んでいます
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蛇の抜け殻/額表装
ご依頼主/岐阜県




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金細工の伝統工芸和紙です。
生き残った古典(クラシック)は、現代でも遜色ない品位があります。
こうして見ていると金細工の美しさは、星空のような輝きを持っています。
これを衝立に張り込みます。




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掛軸にとって桐箱(掛軸収納箱)は、お家の様な存在で、数百年前から掛軸と共存しています。
そして掛軸と同様に状態は悪くなっていきます。悪くなるを分かり易く言うと機能性が著しく低下するということです。
所謂、桐箱として一番大事な調湿性能が落ちる為、掛軸を守ってくれなくなるのです。これでは、修繕した掛軸を箱に収めても意味がありません。

しかしながら、古い桐箱には箱書き(題名)が付き物です。贔屓にさせて頂いている桐箱職人さんは、その箱書きを生かし、新しい桐箱の上蓋部分に寸分の狂いもなく嵌め込む技術を持っています。

密閉性の高い印籠タイプの桐箱は、掛軸を保存する上で最適なのです。
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▲before
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▲after




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▲before
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▲after




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▲before
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▲after




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表具師にとって糊は、料理人で言うところの出汁の様な存在です。

新糊・古糊・水糊等、工程によって糊を使い分けるのですが、その際に糊のダマを取り除く為に裏漉しをすると非常に滑らかで粘り気のある糊になります。

裏漉しした糊は当然の如く、扱い易く良い仕事ができるのです。手間は掛かりますが、その時間も職人にとっては心を整える大事な作業となるのです。

また、職人の手仕事で作られた裏漉し器は一級品です。




巻子は家系図や絵巻物、文書、伝来を記す為に発達したとされる媒体で掛軸と同じく表具師の仕事です。
 一見、同じ様にも見えますが用途の異なるこの2つは、それぞれ仕立て方に工夫が凝らしてあります。
 表具師として大切なのは、モノの意味を理解し工夫する事だと思っています。
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巻子(巻物)表装
ご依頼主/岐阜県




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石垣張りとも言います。字のごとく和紙を斜に積み重ねて張っていく技法です。
元々は、和紙を多用していた昔、大判の和紙がなく半端物でも貴重だった和紙を継ぎ合わせて、そこに意匠という美を後付けしたことが始まりであったと思います。

千鳥張りに正式なルールがあるわけではないですが、障子の本数・寸法によって古典的な決まりごとはあります。
しかしながら、障子のサイズや格子の数によって条件は様々なので、僕は和紙の継ぎ目がより美しく見えるところを計算して張っています。

現在では、茶室や格式の高い日本建築でしか見かけなくなりましたが、このご依頼をいただくとお施主様の粋を感じて嬉しくなります。
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2019年最後のお客様は、静岡県からご来店のご夫婦。

2020年からご朱印軸(納経軸)で百観音霊場を始められるそうで、その前に掛軸を仕立てる職人さんに会って、話して、心の準備をしたかったとご主人。
色々とお話をしていくと、ご主人は何をするにも拘るお方で大切なご朱印軸を誰に預けるか決めてからスタートしたいと仰っていました。

ご主人は、「あなたに会えて巡礼へのモチベーションがグッと上がりました」「これで安心して巡礼が始められます」

仕事納めの日にとても嬉しいお言葉をいただき、心はホクホクです。
表具師としてこんなに有難い締めくくりはございません。

次回お会いできることを楽しみにしています。
満願目指して、どうぞお気を付けていってらっしゃいませ。





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この作業は、掛軸の軸先を取り付けるために軸棒を削っている様子です。

昔(20年位前まで)は、機械ではなくノコギリ・出刃包丁をメインに数種類の道具で手作業のみで行っていました。
ちなみに僕は根っからの職人気質ですが、『手作業のみで』とか『伝統技法』に拘りはありません。それよりもっと先にある『良い物』ができるのであれば、手段は択ばないと思いながら日々仕事をしています。

表具師の様に伝統ある職というものは、『旨味のある歌い文句』に流されがちですが、その技法を発案した当時の職人は、おそらく伝統技法になると思っていたわけではなく、ただ『良い物』を作りたかったに過ぎないと思います。

だから僕は、良い仕事をする為であれば、文明の利器は惜しみなく使います。
その中で、どうしても手仕事ではないと不可能なものもあります。
手仕事とは、手作業ではなく手でしか成し得ない技術だと思っています。

現代を生きる職人として、『古典』と『新しい』を深く追及していくことが大切なのではないかといつも考えています。
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▲before(1ミリの段差を正確に削っています)
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▲after(軸先を取り付けた状態です)




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お店のインターホンが鳴り、窓越しに車のナンバーを見ると『つくばナンバー』。
ん、、、えっ!茨城県!?

お出迎えしてびっくり、茨城県から突然のご来店で、「松月堂のホームページを見て気になっていたので寄ってみました」とご主人。
しかも、松月堂トップページに掲載の『事前のご来店予約』をご存じにも関わらず、アポなしでのご来店でした。ご主人は、「ふらっと寄って居たらご縁」と何とも粋なことを仰りました。

これまでにいくつもの霊場を巡られており、これから西国三十三ヶ所霊場を納経軸で始められるそうで、掛軸表装のことでご相談いただきました。また、関東八十八ヶ所霊場を満願されており、表装(仮)予約のご案内をすると早速、ご予約をいただきました。次回、ご来店の際に満願の納経軸(関東八十八ヶ所霊場)を持参されるとのことです。




【大切なお知らせ】 ⇐ クリック

表装(仮)予約とは、現在多くのご依頼を頂いており、表装納期は6ヶ月~となっておりますが、表装・修繕をご検討中の方におすすめしているサービスです。

いつでもキャンセルできる簡単なご予約で、詳しいご連絡先は必要なく、お名前(ご苗字)だけで大丈夫です。
メールかお電話でご連絡頂いた日付を仮予約とし、順番が来たら優先的に表装作業を進めていきます。

本当に簡単ですので、お気軽にお問い合わせくださいね。




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「現在」・「過去」・「未来」を書で表しています。
とても穏やかなお人柄で、非常に豊かな表現をされる書道家のはるさんの作品です。
僕の心はこの作品だけで虜になってしまいました。

来たる11月22日(金)~24日(日)まで、名古屋市東区にあるEnne_nittourenさんで自身初の個展をされるにあたって額装を松月堂でさせていただいております。出店数は、現時点でおよそ20点ほどの予定で、そのどれもが創造的で深い意味が詰まっており、何より書のデザイン性に圧倒されてしまう作品ばかりです。
ちなみに僕は、お世辞が嫌いな性格です。
そんな拘り気質の僕の仕事を書道家はるさんに深く理解していただけていることはとても光栄なことです。

はるさんの素敵な作品を多くの方にご覧いただけることを一ファンとして願っています。
是非、書の世界に触れてみてください。きっと楽しい世界が広がっていますよ。
※22日(金)は、はるさんの書道パフォーマンスもございます

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詳しくは クリック→Enne_nittouren

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昔ながらの日本建築では、しばしばお目に掛かることのあった衝立のご依頼です。衝立は、美術要素と共に目隠しや間仕切りとして数百年前から重宝されてきました。松月堂でも年に数点しかお仕立てしなくなりましたが、こうして見ると普通に格好いいフォルムだなと見とれてしまいます。ちなみにお寺様では今でもよく見かけますね。

これを現代の生活スタイルに上手く生かせそうだなと少し思っています。




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元々は、狭い茶室の空間で着物や帯が土壁に当たった際に、衣服・土壁を傷つけないようにするために設えたことがきっかけで、いつしか然るべき和室には、腰張りをすることがステータスになっていったように思います。
今では、和室のデザインとしても一目を置かれています。和室に腰張りがしてあると単純に格好良いと見とれてしまいます。

ちなみに腰張りは、表具師にしか出来ない仕事だと自負しています。
和紙、刷毛、ヘラと材料・道具はシンプルですが、土壁の具合と季節に合わせ、糊の濃度を調節しなければなりません。もちろん、張る和紙の寸法にも黄金比があり、それをもとに和室に適切な寸法で和紙を裁断し正確に張っていくのです。

『貼る』ではなく『張る』なのです。これは表具師特有の感覚です。




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掛軸の修繕で行う折れ伏せ(処置)作業の風景です。
横折れや破れの甚だしい本紙(作品)を裏面から和紙で補強しているのです。折れた箇所全てに施すため、膨大な時間を要しますが、これを行うことにより損傷部分は改善され、作品を守ると同時に折れ目もなくなることで、作品本来の美しさを取り戻すことができます。
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Instagramにて動画公開中!
 ↓ ↓
https://www.instagram.com/p/BxzvjoCDBms/




掛軸をマニアックに嗜む方の中には、修繕適齢期とは別に表具を変えるご要望もあります。
表具を変えるとは、装いを変えることで、ご依頼主の好みに合わせてリノベーションすることです。

写真の掛軸は、中国で仕立てられたもので民芸品程度の為、材料は粗悪で製品としても良質とは言い難いものです。また、表具も作品の良さが出ていないということで、ご依頼いただきました。
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▲before
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もちろん、掛軸のリノベーションと同時に良品な仕立ても施しております。




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▲before
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▲after




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中国山水/掛軸表装
ご依頼主:埼玉県




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表具の見栄え・重要部に不可欠な技術と共にディテールを拘ってしまうのが、職人の性。
この写真は、掛軸最上部にある軸紐の仕立て部分です。
この部分は、桐箱の蓋を開けた際に見える部分であり、軸先と同じく掛軸の第一印象を決める大切なところです。掛軸を嗜む方であれば、ここの印象で掛軸の良し悪し(品質)を伺うことができてしまうのです。
だから僕にとっては、決して気を抜くことのできない大事な仕事なのです。
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▲before
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▲after
上下の写真を見比べると、afterの方は軸紐に解れ止めとして金砂子和紙で化粧しています。
もちろん、軸紐も上質なものしか使用しません。その為、手触りもしなやかで丈夫です。




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この写真は、ご依頼品を預かった際の状態です。
おそらくこの状態が改善されるイメージが湧かない人が大多数と思われます。
それとは裏腹に、僕には明確なイメージが湧いていました。
もちろん最善を尽くす為に、時間をかけて幾通りの修繕プランを用意します。そして、工程が進むごとに都度最良のプランを選び修繕しています。
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本紙はバラバラかつ脆いので、取り扱いはとてもデリケートです。
既存のパーツ(本紙)は、全て生かします。
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額装の土台にある本紙も下記写真の様に解体(取り外し)していきます。
非常に繊細な作業が続きます。
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バラバラになっていたメインの本紙を元の配置へと仮合わせしています。
※後ほど一旦ばらし、修繕作業・補強作業を施したら裏打ちをします
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修繕を終えた本紙は、この通り良好な状態へと変貌を遂げました。
元々欠損していた部分は、既存の本紙の色味の中で一番薄い色味よりもワントーン薄い色味で補紙しています。これは作為的に行ったのですが、話すと長くなりますので割愛します。
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書:小松宮彰仁親王(日本赤十字社総裁)・額装修繕(修理修復)
ご依頼主:岐阜県




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