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見てください、感涙ものです。
百観音霊場の御詠歌を揃って拝見したのは、これが初めてです。

昨年末、県外からお越しの最後のご依頼主(Mさま)は、なんと福島県から。
「巡礼で各地へ参ることと松月堂さんへ行くことは、同じ様なことだから距離は気になりませんよ、それより実際に会って話してみたい。」
嬉しい限りです。

以前にも綴ったことがあるのですが、一つ一つの軌跡の積み重ねがやがて奇跡となり、僕のところまで各地のご朱印が来ているのです。だから表装は重責なのです。

また、昨年も数多くのご依頼主から色んなことを学びました。Mさまからも素敵なお話を伺いましたので、一部紹介させていただきます。

「西国・坂東の御詠歌は、比較的お願いし易かったのですが、秩父は苦労しました。」これは愚痴ではありません。見方を変えると、現実問題として秩父の御詠歌が無くなる可能性があるという現れなのです。霊場や御詠歌が存在するということは、それを守る必要性もあるのです。
しかしながら、それを一個人ではどうすることもできないのであれば、「御詠歌を残せる今を大切にしたい」とMさまは、仰っていました。全国各地にも御朱印できる神社仏閣も減少傾向にある為、Mさまは全国の霊場を巡り、御朱印を歴史的・文化的な資料として残しているのです。
「偉大な功績を残すことは、本来誰にでも出来るはずです。ただ皆言い訳をしてやろうとしないだけ。単純なことです。」物腰の柔らかいお人柄のMさまのその言葉は、僕の心の奥にある緩んだネジを締め直してくれました。

また一つ良い仕事ができる表具師になれたような気がします。
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西国三十三ヶ所霊場・御詠歌
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坂東三十三ヶ所霊場・御詠歌
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秩父三十四ヶ所霊場・御詠歌