2023年05月

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「過度に拘った、、伝統的な、、」ということではなく、自分にとってそれが自然で使い易いことが、
長く職人を続けていくコツのような気がします。

糊と桶と刷毛と私の相性も良い具合です。
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ご依頼主のリクエストを全てお答えした、松月堂フルオーダーの納経帳(西国三十三ヶ所霊場)です。
表紙には、豪華な正絹金襴(西陣織)を使用しました。
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イボタロウムシから採取した動物性の蝋です。
軸装仕上げ(裏摺り)の際に、滑りを良くするために裏面全体に軽く擦り付けます。




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少し遡った記事ですが、、、
今年(2023年)の仕事始め、一番最初のご依頼主は神奈川県からお越し頂いたご夫婦でした。

『人気のお店は立地条件が良いから』という言い訳はしないと10年前に誓い、アクセス(交通機関)の悪い岐阜(中濃地方)という田舎ではありますが、表具師という仕事で日本全国から頼られる職人になりたいと藻掻いていた頃を思い出しました。

あの時から、いつしか日本全国(少し海外も)からのご来店・ご依頼を頂くようになり、ついに仕事始めに関東のお客様とご縁を頂けるようになり、こんなに縁起の良いスタートはありません。

ご依頼主のご夫婦は、2019年のコロナ前に発願し、気を配りながらの少しづつ進めていく巡礼をされていました。その為、一度は来店時期を延ばすお心遣いもございました。
また、とあるお寺様で御朱印間違いの珍事もあったそうなのですが、ご主人が「これは、プレミアだ!」とポジティブに笑い話をしてくださりました。

『心が温かいな』そして何より、
『仲睦まじいご夫婦だな』と心が和みました。

手前味噌になってしまうのですが、松月堂へお越し下さるご依頼主の方は、皆さん本当に寛容で懐の深い方ばかりで、いつも学ぶことが多くあります。旅の思い出話もとても楽しく拝聴しています。

私は、ずっと岐阜にいるのですが、全国へ飛び回っているように錯覚することがしばしばございます。笑

この場を借りて、皆様に感謝申し上げます。

追記
ご来店後、ご夫婦は関で刃物をご覧になられ、その後、名古屋⇒伊勢と東海三県を巡られたそうです。
ちなみにメインは、松月堂だそうです!嬉しい!




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掛軸と巻子(巻物)は、似ているようで異なる部分が結構あります。

掛軸は、美術品の要素が求められますが、巻子は、書物としての要素が求められる為、構造や仕立てには明らかな違いが出てきます。

因みに表紙と奥付きの金砂子紙は、『本金5:中金5』の松月堂オリジナルです。
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破れ、欠損、虫食い、無数の折れとシワ…状態の甚だしい古文書である。

モノはいずれ朽ちていく。

その速度を抑える作用が修繕であると考えています。

この写真のbefore→afterは、決して蘇っているわけではなく、既存の可能性を高めているに過ぎない。

私は、その既存の未来を少しだけ変えてあげられる仕事をしているのかも知れない。DSC005340001
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絵/十六善神
形式/真の行(仏表装)

この掛軸の主は、本金箔。
元の掛軸と同じく、表具の主張をバランスよく控えることで、絵の魅力を引き出しています。
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表具部分と本紙(下部)におびただしい数のカビが付着しており、素手で触れるとカビ特有の感覚にゾワッとする程でした。

幸い、本紙に浸透する前の比較的新しいカビでしたので、適切にカビを除去し仏画には影響なく修繕作業することができました。DSC00798
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十六善神 掛軸修繕(修理修復)



 

色紙の染み抜き(シミ抜き)事例です。
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