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本日、ご来店頂いたご依頼主のお遍路バッグです。
使い込まれたこのバッグには色んな思い出が詰まっています。

二度の歩き遍路と五度の自転車遍路を共にしているこのバッグは、正に同行二人。
そんなご依頼主のお遍路話は、とても興味深く勉強になることが沢山ありました。

ちなみに愛知県春日井市~松月堂(岐阜県関市)まで、自転車でお越しになられたのには驚きました。
約35㎞あったそうですが、四国八十八ヶ所霊場の約1,300㎞の道のりと比べれば、大したことではないと涼しい顔で話していたのがとても印象的でした。




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縮み工程を経た表装裂地にアイロン掛けしています。
ただシワを伸ばすだけの単純作業ではありません。 

表装裂地は、幾何学模様が細かく織られており、縮みを施した際に若干の歪みが出ます。
それをスチーム機能を上手く使いながら、柄をミリ単位で補正していくのです。
そうしてようやく裏打ちの準備が整います。




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この仕事を始めてから今でもしばしば言われることが、「障子や襖、掛軸はオワコンだから大変でしょう?」
僕が本気でそう思っていたら、表具師という仕事は当の昔に辞めています。
そもそも始めたキッカケが『表具は面白い・可能性しか感じない』と思っていたからです。

モノの見方は結構単純なもので、見る角度や考え方で、まるで別のモノになったりするもので、大きく変える必要がない場合もよくあります。
その意味では、表具の魅力を上手に伝えることが大変であるのは事実です。

しかしながら、気をつけなければならないのは、安易に媚びないことです。
僕は、表具師として在るべきスタンスの中で、現代と勝負しています。



 

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二種の金銀細工和紙を構成して額装にしています。
向かって右側は金銀砂子で、左側は銀細工(水切) です。




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